<秋季高校野球静岡県予選> 常葉大菊川、辛勝発進でチーム内競争激化 エース佐藤、サヨナラ打も投球に不満

秋季高校野球静岡県大会予選は8月23、24日、県内各地で代表決定戦が行われた。
昨秋県優勝、東海準優勝の常葉大菊川は23日、浜岡球場で行われた袋井との2回戦が新チーム初の公式戦。初戦の硬さからか守備の乱れを袋井に突かれて失点し、攻めては序盤の強攻策が裏目に出て2併殺と波に乗れず、最終回までもつれた。3―3で迎えた九回にエースで中軸の佐藤大介投手のサヨナラ打で辛くも勝利。県大会出場を決めたものの、課題も多く露呈した一戦となった。

袋井
100 020 000 =3
003 000 001x=4
常葉大菊川

石岡諒哉監督は「勝ったけれど、これを選手がどう思うかですね。(練習試合と公式戦での違いに)人が変わっちゃったのかと思うくらい。慌てる展開じゃないのに。どっしりしていなかった。自信がないのは練習不足ですね」と渋い顔だった。

納得できない内容

先発は今春の選抜を経験した182センチの左腕、佐藤投手。
投げては6安打3失点で完投。打ってはサヨナラ打を含む3安打2打点。結果だけ見れば投打のヒーローだったが、内容に納得できず、試合後は終始、浮かない表情だった。

初回に自身の悪送球で1死二塁とピンチを背負い、袋井に先制を許した。三回は自身の適時内野安打などで3得点し、逆転に成功したものの五回は再び失策が絡んで2失点。
「次(県大会)につながったことは良かったけれど、自分としては思うような結果が出なかったので喜べなかった。自分が足を引っ張った。チームとして、なかなか点が取れない中で同点にされてしまい、『負け』を意識して腕が振れなくなってしまった。気持ちの面での弱さが出た」と反省の言葉ばかりを並べた。

「自分が引っ張っていく」

選抜で甲子園のマウンドを経験。新チームでの練習試合は6試合に投げて全勝と手応えを得ている。ただ公式戦では、本来の力を発揮できていない。選抜では延長十一回に救援登板してサヨナラ負け。今春の県大会は桐陽との準々決勝に先発し、チームを勝利に導くことができなかった。
「もっと自分を出して、引っ張っていくようにしないと。自分が変われば、チームにもプラスになる」と自覚している。

今夏の甲子園で躍動した聖隷クリストファーの左腕、高部陸投手のマウンドでの立ち振る舞いを目の当たりにし、「甲子園での高部君のピッチングは余裕があると感じた。打たれたとしてもバックに声かけたり。見習わないといけない」と刺激を受けている。

攻撃も〝らしさ〟なく

菊川らしい攻撃も鳴りをひそめた。
袋井の先発・成瀬大翔投手は技巧派左腕。強打のチームが秋に苦戦するタイプで、相手の術中にはまってしまった。石岡監督は「速い球も遅い球もポイントは変わらない。両方を打てないということは、対応できる力がまだないということ」と、期待して送り出した分だけ厳しい評価が口を突く。

スタメンは固定されていない。能力の高い選手が多く、チーム内競争の真っただ中。一戦一戦がアピールの場となる。

2年連続の選抜へ

新主将に立候補した渡辺豪外野手は「課題は数え切れないくらい出た。練習でやってきたことが出ないのも、打てないのも原因がある。全員が(原因を)理解して、練習していくことが大事。バッティング以前に走れないのも度胸がないと感じたし、同じアウト、同じミスを重ねていた」と総括する。

2年連続の選抜出場へ、やるべきことを明確できたことが、この試合の収穫だ。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
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