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人口減対策 鍵はシビックプライド
「だもんで静岡フェス」の第1部では、同センターの山崎一幸理事がサイト立ち上げの経緯やこれまでの取り組みを紹介した。山崎理事は同センターが企業の再生やM&A、事業承継などを支援してきた20年の間に、静岡市の人口が合併当初の約73万人から約67万人に減少したことに触れ「人口減少が最大の問題ではないかという意識が『だもんで静岡』の取り組みのきっかけ」と振り返った。目指したのは「静岡で暮らす人々の不満や問題やアイデアを集め、それを行政に伝えるだけでなく、市民同士で解決できる仕組みを作ること」。思い立ったときにいつでも、どんなテーマでも意見を投稿することができるようにしたという。.jpg)
「だもんで静岡」の取り組みを紹介する山崎理事
サイトに公開された投稿には、解決方法や事例を知っている会員や行政からのフィードバックをコメントとして付けることができ、共助や公助による課題解決を後押しする。山崎理事は「市民の声が市に届く仕組みを作ることで、自分の声で地域が変わった経験をしてもらうとともに、自身が地域の一員であると実感し、さらに地域を良くしていきたいという意識『シビックプライド』を醸成すること」をポイントに挙げた。2024年4月に本格的な募集を始めた後、スタートアップ企業と地域の協働で新しい社会システムを共創するアイデアを競う静岡市のコンテスト「BRIDGE」に採択されたことで、市ともサイトの改善を進めたといい、今年5月には投稿に「いいね」「素晴らしい」「参考になった」といったリアクションができる機能が追加された。山崎理事は「投稿に対する共感を示すことが、サイトに参加するきっかけになればと考えた」といい、コメントした市の担当者も「自分が投稿したアイデアに対してみんなが同じことを考えているのを可視化できるだけでなく、課題を挙げる声の大きさも分かる」点を高く評価した。
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「だもんで静岡」トップページ
開設から1年で、約500件の投稿が集まり、会員も約1000人に達した「だもんで静岡」。年間約6.6万人のアクティブユーザーを抱えるサイトの課題として、山崎理事は若者世代の参加を増やすことを挙げた。「若者の問題意識が低いわけではない。アイデアを尋ねる仕組みさえあれば」と、今年3月に高校生、6月に大学生向けに、それぞれ静岡に住み続けるために必要なことを話し合うワークショップを開催した。参加した高校生は「普段は静岡市の魅力について友達と話す機会はないが、2時間みっちり話すことができ、いい機会になった」「海と山に囲まれた静岡が好きということに共感してもらえ、一層好きになった」とそれぞれ収穫を語った。大学生向けのワークショップには県外出身者も多く参加していたといい、学生からは「県外出身の学生も静岡を良くしたいと思ってくれている。いろいろな人が関係する中で、静岡市がより良くなっていったら」「都会すぎず田舎すぎない(静岡の魅力を)を残しながら発展してほしい。大学へのアクセスも良くしてほしい」との感想が出た。
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司会を務めたSBSの高田愛弓アナウンサー
共感と共鳴 支え合う社会作る力に
続いて、静岡サレジオ高の3年生と大学生が難波市長に直接思いを伝える第2部のディスカッションと、第3部の市長による基調講演が行われた。ディスカッションで「私は大人になっても静岡に住み続けたい」と切り出した太田侑奈さんは「高校生のうちから、静岡市内の企業での体験など社会に参加できるコミュニティがあれば」と語り、陰山絵理子さんも「静岡は住みやすいと思うが、他県の人に魅力をちゃんと伝えられるよう、学校や自治体で静岡のことを深く学べる場を作ってほしい」とリクエストした。市長は「自分は19の市町村に住んできたが、一番住みやすいのは間違いなく静岡市」とした上で「市民の皆さんはそれをあまり言わない。もっと誇れるところだと伝えていきたい」と語り「(小さなときから)遊びながら、楽しみながら静岡の会社や静岡のいいところを知ってもらうことが大事。学校の先生も気の毒になるくらいやっているので、仕組みづくりをしていきたい」と意気込んだ。

高校生と大学生が静岡市への思いを難波市長に熱く語ったディスカッション
静岡大4年の佐藤正樹さんは「これがあるから静岡に住みたい」と言えるような魅力づくりのために、どのような先行投資を考えているかを質問。市長は「静岡の強みは『おまち(中心市街地)』。地方都市でこれだけ街が残るところは少ない。おまちを生かした職・住・商・学・遊が近接一体となったまちづくりを進めたい」と答えた。静岡理工科大院1年の五味和也さんは「静岡市に通う学生の多くが、おまちに近いにもかかわらず講義が終わるとそのまま帰ってしまっている」と現状を語り、県立大3年の高林佑介さんは自身の「認知症カフェ」の活動に触れながら「在学中に地域の人と関わって楽しかったという思い出をつくり、卒業後も地域と何かしたいと静岡に残る人が出てくるととても良い。市からは、こんな補助や支援があるという情報を教えてほしい」と学生へのサポートを求めた。市長は「面白い場所が点在する『面』でのまちづくりを進め、まち歩きが面白い静岡市にしたい」と述べるとともに「今の大学生は意識が高く、本当に頼もしい。思いある人と世界の知がつながる場、土台を作り、一緒に走ることが大事だと思っている」とエールを送った。

終了後には、参加者による交流会も行われた
続く基調講演でも、市長は静岡市の人口減少を解決するためには仕事を増やすことが最大のポイントとして「若い人々がワクワクするような仕事を作る。中心市街地と中山間地を面で再生することで、どこに行っても面白いまちをつくる。例えば、デジタルやエンタメ系といった動きの早い企業を呼び込みたい。若い人が集まれば遊ぶ場所も生まれる」と意気込んだ。そのためには社会の力と世界の知をつなげることが必要だとし「今の社会のここに課題があり、これを解決しなければいけないということにみんなが共感・共鳴すること、思いが一つになることが大事」と訴えた。■ウェブサイト「だもんで静岡」