​<全国高校野球選手権静岡大会> 磐田初の甲子園届かず 磐田南 7人で14安打の強打発揮も タイブレークで3回戦敗退

全国高校野球選手権静岡大会は7月19、20日に3回戦を行った。今春の県大会で4強入りし、Aシードとして臨んだ磐田南は藤枝明誠に延長十回、タイブレークの末5―6で敗れ、目標の「磐田から初の甲子園」には届かなかった。

磐田南
110 110 000 01 =5
000 022 000 02x=6
藤枝明誠

公立進学校が、甲子園出場経験のある強豪私学に惜敗という結果だけ見れば〝善戦〟と言えるのかもしれない。
けれども試合後にはガックリと膝をつき、うなだれる磐田南ナインの姿があった。本気で甲子園を目指したからこそ、悔しさだけが募った。

最速145キロのエースで4番の山田堅正選手(磐田東中出)は投げては8回⅓を5安打4失点、打席では無安打に沈んだ。「ピッチングもバッティングもふがいなくて、みんなに申し訳ない」と涙を拭った。

相手の粘り、乱れた制球

試合巧者の藤枝明誠に対し、磯部祐監督の「接戦に持ち込まれないように、打っていこう」という狙い通り、序盤は好機に適時打が出て着実に加点した。

だが中盤、山田投手の制球が突如乱れた。五回に二つの暴投が絡んで2点を返され、六回は四死球で出した走者が2失点につながった。
「明誠さんは粘り強かった。山田のコントロールがいつもより乱れたのも、甘く入ったらいかれるという思いがあったのでしょう」と磯部監督。山田投手も「アウトコースに投げきれなかった。スライダーが入らなくなって苦しくなり、球数が増え、カウントを悪くしてしまった」と振り返る。

春のサヨナラエラーを糧に

苦しむエースを再三にわたる好守で援護したのが、二塁を守った鈴木律都主将(浜松浜名中出)だ。「山田のことは信頼しているし、あいつのピッチングならどこに打球が飛んでくるかは分かる」
春の県大会3位決定戦は自身のサヨナラエラーで敗れた苦い経験がある。「春からここまで、守備練習をしっかりやってきた。悔しい気持ちが練習の中で力になった」

7人で14安打

春の県大会予選1回戦で2023年夏の甲子園出場の浜松開誠館にコールド勝ちし、脚光を浴びた。
メディアの注目を最も集めたのは山田投手だったが、この日は大黒柱が精彩を欠いてもそれを感じさせなかった。7人で14安打。強豪私学を圧倒した。
「野球に対して一番意識が高いのが山田。あいつはすごいというのは分かっている。でもあいつに負けたくないという気持ちでやってきた」と鈴木主将。

シード校を経験し得た教訓

シード校としての夏は今までにない経験だった。
鈴木主将は「常にチャレンジャーという気持ちだったし、受けることなく攻めきることができた」と言うものの、追われる立場となって貴重な教訓を得た。
「負けを怖がったら相手に押し込まれる。試合中に失敗が怖くなくなるくらい、練習することが大事」。後輩に伝えていくつもりだ。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
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