「移動養蜂」と「レンタルみつばち」で静岡から全国の農家を支える
望月:今回は有限会社 クヰンビーガーデン養蜂組合」を紹介します。こちらの初代は日本の養蜂業の父と言われる鈴木勲さんで移動養蜂技術の国内第一人者です。お話は、鈴木さんのお孫さんの前田宗一郎さんに伺いました。春になると花粉が悪者扱いになりますが、いちごやみかんなど果樹の繁殖のために花粉はとても大切。花粉にも良いところがあると思い調べたわけですが、調べていくうちに日本は中国からの花粉の輸入に頼っていたことが分かりました。松下:ええ〜花粉が売り買いされているんですね。びっくりです。
望月:しかし中国からの輸入は火傷病(かしょうびょう)という果実の病気が流行ったことで、2023年8月から輸入停止になりました。それで困った農家さんは花粉の自家採種とミツバチを使った受粉を始め、それで1箱8000匹ほど入ったものを農家に貸す「レンタルミツバチ」の依頼が増えたそうです。
松下:「レンタルみつばち」。なかなか聞かないワードですね。
おいしいはちみつを追い求め巣箱と移動
望月:今回、こちらでは「移動養蜂」という方法で南から北へ日本各地を花の咲く時期に合わせて蜂と巣箱を一緒に移動しながらはちみつを採取しているそうです。ちょっとロマンチックだと思いませんか?松下:ロマンチックだけど結構大変ですね。
望月:トラックに巣箱を満ぱいに乗せて持って行きますが、鹿児島・静岡・北海道に巣箱を置く養蜂場が数カ所あります。春に鹿児島・種子島から始まって5月は静岡でみかんの蜜を収穫し、最後は北海道へ向かいます。はちみつの収穫は天気に左右され雨の日は収穫しないのですが前田さんは晴れが続く場合も収穫をあえて休みます。収穫したてのはちみつ特有の水分を徐々に減らしてはちみつを巣箱の中で熟成させ、より糖度を高め、少しでも濃厚なはちみつを採りたい前田さんのこだわりです。
移動養蜂の様子
松下:あまり働かせ過ぎると良くないんですね〜。望月:「移動養蜂」はタイミングも難しいんです。できるだけいいタイミングで採蜜するために地域の花に咲く時期を早め早めに見極めて移動しています。
松下:植物や各地の気候にも詳しくないといけない難しい仕事ですね。
望月:現地にたくさん友達を作って仲良くなってその時期になったら電話で花の様子を確認するそうです。今年はもう100本以上電話をしたと言ってました。
松下:素晴らしい!アンテナを事前に張っておくことが大切なんですね。
望月:ちなみに久能の石垣いちごも、蜂がハウスの隅から隅まで移動しやすいように長くつながっているそうですよ。
松下:まったく知らなかった!蜂のためなんですね。
養蜂に興味がある人、巣箱の設置場所を募集中
望月:はちみつは糖度が78.5%が日本人が一番おいしいと感じる糖度だそうで花の咲き始めと終わりで味が変わります。だからこそ最初と最後のはちみつは入れずに一番旬のおいしい部分を販売しているそうです。毎年すごい人気で売り切れてしまいます。ちなみに前田さんの親族・前田一族は、弟がパワーリフティングの日本代表、4月から高校生の甥っ子もパワーリフティングの史上最年少日本代表になり、父方にはプロ野球選手が二人いて、前田さん自身も陸上で以前に世界記録を持っていたことがある体力がすさまじい家系です。それもはちみつパワーだと話してました。
前田さん一家
そんな「有限会社 クヰンビーガーデン養蜂組合」では、養蜂家の求人を募集しています。朝も早いけど、終わる時間も早い!「刺されて一人前といわれる業界」で体力勝負ですが、自分次第で結果が出る仕事です。静岡は5月がピークを迎えます。今養蜂家がどんどん減ってるので、ちょっとでも興味がある人はご連絡をお願いします。蜂の巣箱を置かせてくれる農地も募集中です。松下:電話は054-345-6217までお願いします。
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■有限会社 クヰンビーガーデン養蜂組合
住所:静岡市清水区今泉89-6
TEL:054-345-6217
※2024年4月5日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
今回、お話をうかがったのは……望月やすこさん
静岡県内を中心に個人の撮影や取材撮影をするフリーカメラマン。撮影歴は20年以上。「人を笑顔にする撮影」と「面白いネタ探し」を得意とする。著書「子連れのタダビバ」シリーズ(静岡新聞社)では執筆も担当。ラジオ・テレビの出演など様々なメディアで活躍。公式ホームページ「フォーシーズン 望月やすこ」、インスタグラムもチェック。