都市対抗野球の“補強選手”、辻本宙夢(静岡高出身)がヤマハの8強入りに貢献!小柄な大エースがたどってきた「生きる道」とは…

「重圧を力に変えられた」


社会人野球の都市対抗野球大会を戦うヤマハに補強選手として加わった辻本宙夢投手(26)=東邦ガス、静岡高出身=が2回戦に先発し、6回1/3を3安打零封。チームの10年ぶりの8強入りに貢献しました。

「補強で先発するのは初めての経験で、いつもと違うプレッシャーがあって緊張しました。でもプレッシャーをうまく力に変えられたと思います」と試合後に話してくれました。

補強選手とは…

都市対抗大会の「補強選手」とは、各地区の代表チームが同地区の地方予選で敗退したチームから最大3選手をレンタルできる制度です。

今回、ヤマハは東海地区予選で敗退した東邦ガスから辻本投手を選びました。辻本投手のほか貞光広登内野手(ホンダ鈴鹿)、吉田有輝内野手(JR東海)も今大会のヤマハの補強選手です。

投球スタイルを突き詰めてきた

静岡高時代の辻本投手


辻本投手といえば、抜群のコントロールとマウンド度胸で、高校、大学、社会人とエースの役目をきっちり果たしてきました。身長は172センチ、最速は148キロ。力で押すタイプではなく、制球力を武器に、変化球とのコンビネーションで打ち取ります。

今の投球スタイルを突き詰めた理由を聞いてみると、大学時代に出会った、そうそうたる選手の名前が挙がりました。

駒大時代、先輩の今永(DeNA)に衝撃を受けた日

駒大4年秋のリーグ戦で投げる辻本投手


まずは駒大に入学した当時のエースがプロ野球・DeNAの左腕、今永昇太投手でした。入学直後の社会人とのオープン戦で衝撃を受けました。「社会人が(当時大学4年の)今永さんの投球に手も足も出なかった。ストレートが前に飛ばないんです」

さらに東都大学リーグの同期は東洋大の上茶谷大河投手(DeNA)、甲斐野央投手(ソフトバンク)、梅津晃大投手(中日)、国学院大の清水昇投手(ヤクルト)らでした。

打者には今季、パ・リーグ打率トップを走るオリックスの頓宮裕真選手(亜細亜大)らがいました。「頓宮は普通に投げたら抑えられない。外の球に強いというデータがあったので、自分は全球インコースに投げました。でも上茶谷はアウトローで三振に仕留めた。やっぱりプロに行く人は違うなと思いました」

記者「子供たちがお手本にしてほしい投手」

ただ、辻本投手はここで勝負を諦めるのではなく、自身の「生きる道」を追求しました。東都で強打者と対峙する上で「逃げてかわしてでは勝てないし打たれる」。打者に向かっていく姿勢とストライクゾーンで勝負できる球の強さに磨きを掛けたそうです。

特別に体が大きくなくても、常時150キロを超えるような剛速球がなくても強打者と勝負できることを示し続けている辻本投手。野球に打ち込む子供たちにぜひ、注目し、お手本にしてほしい投手です。

辻本投手は東邦ガスでもエースに

静岡新聞社編集局運動部がサッカーや野球、バスケットボール、ラグビー、バレーボールなど、さまざまなスポーツの話題をお届けします。紙面では紹介しきれない選手たちの表情や、ちょっとしたこぼれ話をお楽しみに。最新情報は運動部の公式X(旧Twitter)でチェックを!

関連タグ

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1