<全国高校野球選手権静岡大会> 静岡が静岡商破り4強入り 満を持して〝ホームグラウンド〟へ エース吉田「草薙で暴れたい」

全国高校野球選手権静岡大会は7月24日に準々決勝が行われ、4強が決まった。静岡―静岡商の伝統校対決は静岡が左腕3人の完封リレーで5―0で静岡商を退けた。
準決勝のカードは藤枝明誠―聖隷クリストファー、東海大翔洋―静岡となった。

先発した静岡の鈴木颯真投手(2年)が5回を3安打無失点。救援した磯部健士郎投手(3年)は制球が定まらずピンチをつくったものの、エース吉田遥孔投手(3年)が無失点で切り抜けるとその後も反撃を許さなかった。攻撃で4併殺を喫するなど、いまひとつ波に乗れなかっただけに、投手陣の我慢の投球が光った。

静岡
011 000 021=5
000 000 000=0
静岡商

無四球で好救援

ロングリリーフを担った吉田投手は4回を3安打無失点。
池田新之介監督は「四球でランナーがたまったらいくぞ、と(吉田には)伝えていた」とは言うものの、六回無死一、二塁での〝緊急登板〟だった。
吉田投手は「颯真が無失点で抑えて、いいピッチングしていたので、自分もどんな状況でも抑えようと思っていた」とすかさずスイッチを入れた。

10四死球を出した日大三島との4回戦に対し、この日は無四球。
「前回より確実に調子が良かった。変化球がストライクゾーンに集まってきていて、真っすぐも高い出力が出ている。まだ改善するところは多いけれど、少しずつ良くなってきている」と手応えを口にする。

兄からの助言が後押し

兄の助言が後押しした。
吉田投手の兄は2022年夏の静岡の主砲、吉田優飛選手(日体大3年)。4回戦をネット配信で見た兄から連絡があったという。
「コントロールがあまり良くなかったんですが、『体が開いちゃってるよ』と指摘されました。ランナーを背負った時に、抑えよう抑えようと思ってストライクが入らなくなる時があるので、『もっとアバウトに行ってもいいんじゃないか』と言われました」
4回戦で154球を投げたこともあり、試合後の体のケアについても教わり、参考にした。大会終盤は中1日の過密日程となるが、体力的には「全く問題ない」と自信を示す。

「草薙で暴れたい」

静岡は例年、シードを取れば草薙球場を主会場としてきたが、今大会はここまで一度も草薙での試合がなかった。2回戦(初戦)と準々決勝はちゅ~るスタジアム清水、3回戦は浜松球場、4回戦はあしたか球場と転戦してきた。
準決勝は、慣れ親しんだ〝ホームグラウンド〟に帰る。
「やっと草薙でできる。(慣れない)他の球場でやってきたからこそ、草薙では自信を持ってできる。マウンドも景色も草薙が一番(なじみがある)。もっと暴れたい」

鈴木「徐々に緊張解けた」

2年の左腕、鈴木颯はこの日、公式戦初先発。初回に3安打されてピンチを背負ったが、軽快なフィールディングで犠打の小フライを捕球し、飛び出した一走を併殺に仕留めるなど無失点で切り抜けた。
「徐々に緊張が解けてきて、自分のピッチングができるようになりました」

池田監督が「エースと同じくらい信頼しているし、チームにも信頼されている」という2年生左腕は、制球力を武器に打たせて取るタイプ。
この日は直球が走り、最速を更新する140キロをマークした。「相手と勝負することを意識して、コントロールよりも、自分のボールを投げることを考えました。まっすぐでしっかりファウル、空振りが取れたのが良かったです」

石垣捕手、3投手を評価

3投手をリードした石垣大輝捕手は「入りは全体的に変化球が高くて、颯真自身も苦戦した部分があったけれど、2イニング目から立て直した。立ち上がりは難しかったと思うけれど、良く投げきったと思う。磯部は少し力んだ部分があったけれど、投げ終わった後にベンチでよく声を出してくれていて、助かりました。吉田はさすがという感じ。コントロ-ルが良くて無死一、二塁をよく抑えてくれたと思います」とそれぞれを評価した。

球数制限を踏まえると、準々決勝での鈴木投手の好投はチームにとっても吉田投手にとっても好材料だ。この日の雪辱を期す磯部投手も含め、投手の総力を結集して2勝をつかみにいく。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
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