【新型コロナが5類に】論説会議の舞台裏 変化した見出し

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは季節性インフルエンザと同等の扱いになった「新型コロナウイルスへの対応」。先生役は静岡新聞論説委員長の中島忠男です。
※SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」で放送したものを編集しています。

(山田)今日はどういった切り口でいきましょうか?

(中島)「期待」と「警戒」です。今日(5月9日)の静岡新聞朝刊に学校での黙食が終わりましたという記事を掲載しました。ようやく普通の生活に戻ったかなというのが「期待」ですよね。今日はラジオのスタジオ内にはアクリル板がないですよね。

(山田)先週までは僕と中島さんの間にはアクリル板がありましたね。

(中島)以前は当たり前だったんですけど、当たり前がすごく新鮮だし、これが普通だよねって皆さんが思う場面が増えてきたと思います。そういう期待感というかわくわく感はあると思います。一方で、まだ不安感はある。

 実は政府の専門家会議の脇田(隆字)さんという座長が、次の波はこれまでの波よりもっと大きくなる可能性があるというようなことを言いました。

(山田)第9波のことですね。

いま専門家に言いたいことはこれだ


(中島)はい。その根拠が、例えばイギリスでは9割の人が感染済みでいわゆる抗体を持っているということでした。もう一度かかりにくくなる仕組みが体の中にできている人の割合が9割だから、ほぼほぼコロナが収束したと言えるという。一方で日本人は、それが4割程度だ。だからまだ波が来る可能性がありますよと言ったんですよ。

私はちょっとモヤモヤしました。なぜかというと、だったら気を付ければ気を付けるほど気を付ける期間って長くなってしまうわけですよね。みんなが一斉にかかれば終わるみたいな理屈を立てる専門家っていったい何なんだろうと思いました。

(山田)コロナが出始めた頃に集団感染した方がいいみたいな話は都市伝説的な感じで入ってきていましたね。

(中島)専門家には、これだけの時間をかけて対策を取ってきて当然成果も課題もあるでしょうから「こういうような体制の知見が積み重なったから、制度が変わった時点では、軽症の方はこういう対応をします、重症化したらこういう対応をしますよ」ということを私たちに示してほしい。いつまで「警戒」だけを呼びかけているのかということにも5月7日の静岡新聞社説でも触れました。

(山田)問題意識的なところはいかがでしょうか?

(中島)ぜひ皆さんには3時のドリルとして覚えていただきたいのが「病診連携」。病院の「病」と診療所の「診」です。始めにちょっと熱っぽいな、ちょっと喉が痛いなと思ったら、通常は最寄りの開業医にかかりますよね。その開業医に診ていただいて、(重症であれば)これはちょっと危ないから、病院で精密検査してくださいねとなる。そういう連携がとても大事なんです。

コロナについてはそれがうまくいかなかったんです。今必要なのは病診連携という体制を改めてきちんとした制度として立て直すことです。これをぜひ自治体、医師会を挙げてやっていただきたいですね。

(山田)逆に、われわれもかかりつけ医に行って診断してもらうという流れを意識すべきということですね。今後コロナに対しては、政府はどういう呼びかけをしていくんでしょうか。

「戻る日常、国民が判断」になった理由

2023年5月7日付 静岡新聞朝刊3面 社説

(中島)社説では「戻る日常、国民が判断」という見出しを取りました。国民任せという感じですね。

(山田)いろんな意見はあると思うんですけど、僕らはある意味で縛られてきたりとか、こうしろああしろっと言われてきた中、ここは国民任せなのかぁ…と思ってしまいます。

(中島)論説会議でも議論になりました。最初の見出しの候補は「制度設計を改めてしっかりしろ」というような趣旨の政府への呼びかけにしようとしました。ただ、いろいろと議論をした結果、1つ1つ自分たちで判断していくしかないよねという話が出て、「戻る日常、国民が判断」という見出しになりました。

山田さんの疑問について言えば、私たち1人1人が考えてマスクをするしない、どういうふうな生活を送る送らない、集団で酒を飲む飲まないも含めて判断しながら生活していくしかないのかなということです。

(山田)自分たちがこの3年間戦ってきた経験と知識で判断して乗り越えていきましょうということですね。今日の中島さんの解説を聞いてモヤモヤしたままなんですけど、よりはっきりしたモヤモヤに何か変わった感じがします。

(中島)みんなで自分自身で考えることが大事だと思いますね。いろんな記事、論評、テレビやラジオのニュースなどを踏まえて自分で考える、あるいは自分の家族で考える、それが一番大事かなという気がします。

(山田)まさに今日このコーナーを聞いて自分たちはどうなんだろう、自分はどうなんだって1人1人考えて、この後コロナとどういうふうに戦っていくか、共存していくかというところですね。ありがとうございました。今日の勉強はこれでおしまい!

SBSラジオで月〜木曜日、13:00〜16:00で生放送中。「静岡生まれ・静岡育ち・静岡在住」生粋の静岡人・山田門努があなたに“新しい午後の夜明け=ゴゴボラケ”をお届けします。“今知っておくべき静岡トピックス”を学ぶコーナー「3時のドリル」は毎回午後3時から。番組公式X(旧Twitter)もチェック!

関連タグ

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1