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【選挙とお金】町議の給料24万円、多い?少ない?地方議員のなり手不足を解消するには…

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「選挙とお金」。先生役は静岡新聞ニュースセンター専任部長の市川雄一です。
※SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」で放送したものを編集しています。

統一地方選後半戦、県内六つの町議選のうち三つが無投票に


(市川)
4月23日に統一地方選後半戦の投開票が行われました。今回から町議会議員選挙は立候補者の選挙費用の一部が税金でまかなわれることになりました。

国会議員の選挙や、知事選、市長選、市議選などではすでに適用されていたのですが、これが町議選にも広がったということです。選挙活動費用は選挙カーを用意したり、掲示板のポスターなどを作ったりする時に必要になります。

「なぜ選挙運動費用に税金を投入するのか」と疑問を感じる部分もあるかもしれませんが、経済的に豊かな人じゃなければ立候補できないということを防いで、どんな人でも選挙に出られるよという形にするために設けられた制度です。

(山田)
「地方議員のなり手不足」を解消しようという目的だったとか。

(市川)
県内で今回告示された六つの町議選のうち、三つが無投票になってしまい、選挙が行われませんでした。残念ながら、この制度が町議のなり手不足を解消したり、立候補者を後押ししたりする形にはつながりませんでした。

(山田)
なぜ効果が出なかったのですか。

(市川)
議員のなり手不足は全国的な問題になっています。原因としてよく指摘されるのが「報酬が少ない」こと。議員の給料ですね。政治家はお金をたくさん持っているイメージがあると思いますが、今回無投票になった小山町と吉田町の議員報酬は月24万円で、もう一つ無投票だった東伊豆町は16万8000円なんです。

一方、県議会議員でいえば、だいたい月83万円、ボーナスが年400万円。それとは別に、ガソリン代や電話代などの政務活動費が月45万円使えます。

(山田)
そんな差があるんですね。

(市川)
議員1人で家族を養っていくには、月24万円は物足りない数字ではあるんですね。もう少し報酬を上げなければ、特に小さい町の議員のなり手不足の解消にはつながらないよという議論がずっと続いています。

県議選には税金13億円投入。投票に行かないのはもったいない!


(山田)
議員の仕事以外に、別の仕事をされている方もいるのですか。

(市川)
私が小さい市町の取材をしていた時には、専業の議員の方が少ないぐらいでした。県議や国会議員は専業になるんですが、市議や町議は元々商売をやっているような方々が多く、議員だけの収入で生活している方のほうが少ない印象です。

(山田)
それでは若い立候補者が出ないですよね。

(市川)
今回の制度だけでは、なかなか解消は難しいのかなという気がします。

ほかにも選挙にはいろいろなお金がかかります。先日投開票があった県議選には人件費や投票用紙代、選挙公報、開票所の運営などで13億円の税金が投入されているんです。衆議院議員選挙は実は一回の選挙で600億円使うと言われています。

こうした税金の使われ方は「民主主義のコスト」と言えます。選挙を経ずに政治が行われると独裁政治になってしまう恐れがある。選挙は民主主義の根幹で、民主主義を維持するためにはそれ相応の税金を払わなければいけないということです。

一方、今回の統一地方選は各地で投票率が過去最低になってしまいました。みんなの税金で選挙のお金を払っているのに、半分以上の人が選挙に参加していない現実があります。

(山田)
すごく残念なことですね。あとは選挙に自分で参加したいと思うような仕組みも必要というわけですね。

大変勉強になりました。今日の勉強はこれでおしまい!

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