
今年は「駅弁の日」制定30周年!
新城:昨年の秋に鉄道開業150年を迎え、鉄道業界も盛り上がっていると思います。最近の駅弁に関するトピックはありますか。望月:「駅弁の日」が制定されて今年で30周年を迎えました。これを記念して全国の駅弁マークが入った26の駅弁屋さんが参加し、「おにぎり」を共通のテーマにした駅弁を販売しています。一番最初の駅弁は、おにぎり2つとたくあん2切れから始まったとされているので、それをモチーフにしたということです。
新城:静岡県内の駅弁屋さんでもやっていますか。
望月:静岡駅、沼津駅、伊東駅の各駅弁屋さんが参加しています。
沼津駅の駅弁屋さんでは、「鯛めし」「桜えびめし」「白米にあしたか牛のしぐれ煮」の3つの味のおにぎりが楽しめる「静岡おにぎり弁当」を、2023年4月23日までの期間限定で販売しています。

静岡おにぎり弁当/写真提供:望月崇史さん
新城:おにぎりのオールスターですね。
望月:伊東駅では、通年で「おにぎりランチボックス」というお弁当を販売していますが、「駅弁の日30周年記念ラベル」仕様のものを、2023年4月30日までの期間限定で販売しています。「おにぎりランチボックス」のおかずには、鶏の唐揚げが付いてきますが、それが大変素晴らしい味なんです。地元のファンの方も多く、唐揚げ単品でも販売もしています。

おにぎりランチボックス/写真提供:望月崇史さん
静岡駅では、「握り飯の幕の内弁当」を、2023年4月30日までの期間限定で販売しています。静岡駅の一番人気は、俵型のご飯の「幕の内弁当」ですが、「握り飯の幕の内弁当」は、ご飯の部分がおにぎりになっています。

握り飯の幕の内弁当/写真提供:望月崇史さん
そしてなんと「おにぎり駅弁」企画に参加した駅弁を買うと、それぞれの駅弁屋さんの周辺の観光スポットなどの載った「駅弁カード」をもらえるんです。全国で26種類ありますので、コレクターの人にはたまらないアイテムになると思います。
新城:さすが!ファンの心をくすぐっていますね。
望月:ちなみに「駅弁カード」には、静岡駅は久能山東照宮、沼津駅は千本松原、伊東駅は大室山が載っています。
春の大型連休に食べたい駅弁

ひとくちだらけ弁当/写真提供:望月崇史さん
新城:ちなみに春の大型連休シーズンにぴったりの駅弁はありますか。
望月:北の方へ足を伸ばし、桜を追いかけてもらうのも楽しいかなと思います。そのときは東北新幹線の新青森駅の「ひとくちだらけ弁当」がおすすめです。こちらは、津軽地方の郷土料理などが一口サイズで24種類も入った駅弁です。ご飯だけでも、太宰治の好物で海藻を使った「若生おにぎり」や、津軽地方らしい紅生姜の入った「赤いいなり寿司」など、郷土の味が楽しめます。
新城:旅を彩るアイデアも光っていますね。ほかにもありますか。
望月:東海地方ですと、紀勢本線・松阪駅の「松阪名物黒毛和牛 モー太郎弁当」がおすすめです。黒毛和牛はご当地名物ですが、容器がかなりリアルな牛の顔になっています。蓋を開けると、少し懐かしい童謡「ふるさと」のメロディーが流れます。これは日本初の「メロディー駅弁」といわれています。見た目だけでなく中身も豪華で、松阪名物黒毛和牛のすき焼きがふんわり載っていて、これがいい香りなんです。昨年発売20周年を迎えて期間限定「20周年記念パッケージ」をやっているので、今だけの「松阪名物黒毛和牛 モー太郎弁当」を楽しめます。ぜひこの機会に足を運んでみてください。
ちなみになぜ今行った方がいいと言ったかというと、特急南紀号が2023年7月からハイブリット式の新車に変わるので、現行の車両に乗れるのが今だけなんです。GWは最後の絶好のチャンスになるので、乗り納めをしたい人はぜひ今のうちに。
一度は食べたい望月さんイチオシ!

鮭の焼漬弁当/写真提供:望月崇史さん
新城:想像するだけでお腹が空いてきました。そのほか、期間を問わずおすすめの駅弁はありますか。
望月:うーん難しいですが、あえて一つ挙げるとすると新潟県の「鮭の焼漬弁当」のご飯がとても美味しいです。
新城:ご飯!!究極ですね。
望月:新潟県産のコシヒカリに、郷土料理の焼漬、これがまた絶品です。白いご飯と鮭の焼漬がよく合うので、箸がどんどん進んでしまいます。バランス良く食べ進めたいのに、ご飯と鮭の焼漬だけで完食してしまいました。この話を駅弁屋さんの社長さんに話したところ、実は社長さんも同じことをしてしまったらしく、それくらい本当に美味しいんです。新潟方面に行ったらぜひ食べてください。鉄道に乗って外の景色を見ながらだと、より美味しくいただけるかなと思います。種類はたくさんあるので、いろいろ食べてみて「推しの駅弁」を見つけていただけると、より駅弁の世界が広がると思います。
新城:望月さん、ありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……望月崇史さん
1975年生まれ。富士宮市出身。放送作家・駅弁ライター。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは20年、5000個以上。放送の合間にひたすら鉄道に乗り駅弁を食して温泉に入る生活を送る。駅弁記事のweb連載をはじめ、webメディアや雑誌などで鉄道旅をテーマとした記事を執筆。テレビ・ラジオ番組への出演多数。