静岡新聞社ふれあい読者室
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静岡県の子どもたちは、「将来、東海地震が発生する」と幼い頃から学んでおり、地震についての関心は高い。東海地震が発生した場合、甚大な被害が発生するであろう。しかし、地震についてよく知ることにより、日々の防災に役立てたり、地震が発生した時に、より適切な避難行動等を取ることができれば、被害を減らすことができる。そのために、児童生徒が地震を深く学ぶ気持ちを新聞記事を活用して育てたい。
静岡新聞の地震関連の記事は充実している。地震についてのニュースを児童生徒が理解しやすい言葉や図を用いて表現している。授業で紹介したり、教室に掲示するなどして、地震に対する注意を喚起し、児童生徒が地震を理解し、学習を深める一助としたい。児童生徒の学習段階に応じて教師が資料を補い解説すると良いだろう。
まず、東海地震と地震活動全般に対する関心を持たせるために、静岡新聞毎月第2、4日曜掲載の特集「いのち守る防災しずおか」から、「ウオッチ3連動」を見てみよう(記事①)。この図は、想定震源域周辺で最近2週間に発生した地震の震源分布図で、中央防災会議による東海地震、東南海地震、南海地震の各地震の想定震源域と、内閣府の有識者検討会による巨大地震の断層面がそれぞれ示されている。
この間、静岡県内で有感地震が観測され、それ以外にも多くの小さな地震が発生していることがわかる。継続的にこのコーナーを見ていれば、日本は地震列島であることを実感できるだろう。
図中の青い線は日本周辺のプレート境界を示す。各プレート名を記入し、駿河トラフの位置を確認させたい。海溝型巨大地震のメカニズムについてあらためて復習したい。南海トラフ沿いの巨大地震の発生にはある程度の規則性がある。南海トラフ沿いの想定震源域の、過去の大地震の発生時期について、静岡県地震防災ガイドブックや気象庁Webページなどに掲載されているので参照してみると良い。1854年の安政東海地震の後、東海地震の震源域で大地震が発生していないことを説明したい。このような学習は地震について学んだ後で実施すると、教科書の学習と日常生活の関連を意識させることができて学習効果が高い。
国内で大地震が発生したとき、その記事に着目したい。12月7日夕方に、東北、関東で、震度5弱を観測する地震が発生した(12月8日付1面、記事②)。記事によると気象庁はこの地震は『東日本大震災の余震で、海溝の外側が震源となる「アウターライズ地震」との見解を示した』。
高校の「地学基礎」の教科書には、「アウターライズ地震」は掲載されていない。しかし、静岡新聞の解説(同日付3面、記事③)はわかりやすく、教師が解説を添えれば生徒も理解できるので、発展学習教材として使える。地震に興味を持ち、研究してみたいと考える生徒にこのような記事を示し、専門的な学習への興味の扉を開くきっかけに使いたい。
(吉川契子/静岡中央高)