「ダメとはわかっていたが…1個多めに」なぜ、人は買いだめに走るのか ごみ袋品薄問題を消費者心理学から紐解くと浮上した3つの「不安」

私たちの生活に欠かせないごみ袋がいま、中東情勢の悪化の影響で、各地で品切れや品薄になっています。背景にあるのが、消費者の「買いだめ」や「買い占め」。なぜ、人はそういった行動に走ってしまうのでしょうか。「消費者心理学」という視点から紐解いてみます。

■売り場から消えた「ごみ袋」

5月8日、静岡県三島市内のスーパーマーケットを訪ねた取材班。ごみ袋を置くコーナーで、棚がほとんど空という光景を目にしました。

<ポテト錦田店 佐藤信隆店長>
「こちらがごみ袋の売り場」
Q. 本当にない状態ですね
「4月の末くらいから品薄が続き、5月の頭には欠品している状態が続いている」

消費者への影響はどのぐらい出ているのでしょうか。

<消費者>
「ごみ袋はどこもないと聞いている。我が家には多少残っている」
「そんなに困ってない。でも、みんな買い占めちゃう。気持ち的に」

スーパーやドラッグストアから突如、姿を消した「ごみ袋」。品物がパニック的に欠品していくという騒ぎは、記憶に新しいコロナ禍のマスク不足に、いまから半世紀前、オイルショックをきっかけに起きたトイレットペーパーをめぐる大騒動と、日本は幾度も経験してきました。

では、なぜ、人は「買いだめ」や「買い占め」に走ってしまうのでしょうか。

■背景にある3つの「不安」

「消費者心理学」の専門家は、3つの「不安」が背景にあると分析します。

<静岡産業大学経営学部 劉放 講師(消費者心理学)>
「一つ目は、指定のごみ袋は地域で決められたものしか使えないので、『替わりはない』と感じやすいという点。日常生活に欠かせないのに、替えがきかないと思うと、人はどうしても品物を確保しておきたくなる」

さらに、SNSなどで「商品が足りなくなるかもしれない」といった情報に接したり、実際に店頭でモノ不足に陥っている現実を目の当たりにしたりして、徐々に「不安」が大きくなり、結果、消費者を思わぬ行動に走らせてしまうのです。

<劉 講師>
「先のことが見えなくて、不安な時に、人は不安を和らげるために、何か行動を起こしたくなる。そこで買って手元に置いておくこと自体が安心につながる」

実際、消費者に話を聞いてみると。

<消費者>
「『あそこに行ってもなかった』『ここに行ってもなかった』となると、みんな『買わなきゃいけないのか』という心理になってしまう」
「コロナ禍のマスク不足の時、最初は他人事だと思っていたが、実際、地元で同じ状況になった時『こっちも来たか』と。買いだめがダメとはわかっていたが、いざほしいとなった時にない、となると困る。だったら、普段より1個多めに買ってしまった」

■繰り返される「買いだめ」対象商品の共通点

では、なぜわかっていても同じことを繰り返してしまうのでしょうか。

静岡産業大学 劉放講師

<劉 講師>
「時代や背景が代わっても、似たようなことが繰り返されるには訳がある。実は買いだめの対象になる商品には共通点がある」

劉講師が指摘する共通点は以下の3つです。
▽替えがきかない生活必需品であること
▽買いだめしても構わないと思わせる、安くて日持ちがきく商品であること
▽店の棚から消えた時のインパクトが大きいもの

<劉 講師>
「店の棚から消えた時のインパクトが大きいもの。空っぽの棚を見ると不安がグッと高まる。オイルショックのトイレットペーパーやコロナ禍のマスクやトイレットペーパー、そして今回のごみ袋もこれらの条件に当てはまる」

■騒ぎに巻き込まれないためにどうするべきか

「買いだめ」や「買い占め」の本当の原因は、品物がなくなること自体よりも、わたしたちの心の中にある「不安」や「恐怖」ということがみえてきました。

今回の騒動を受けて、指定のごみ袋以外でのゴミ出しを認める自治体が相次ぐなど、素早い対応が「不安」を打ち消す一因になっているともいえます。

では、このような騒ぎに巻き込まれないためにどうすればいいのか、劉講師は「SNSなど断片的な情報を鵜呑みにするのではなく、複数の情報を照らし合わせるなど、冷静な判断が必要だ」としています。

情報があふれかえる世の中で一体、何が正しいものなのか、見極める力をつけることが、賢い消費者に、さらに「買い占めパニック」の起きない世の中になる近道なのかもしれません。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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