
静岡県の川勝平太前知事が4月29日、静岡市で合唱団の演奏会に参加しました。川勝前知事はリニア中央新幹線の工事をめぐるJR東海と県との対話が完了したことについて、「終わっていません」と自身の見解を話しました。
■「南アルプスは人類の共有財産」
<記者>
川勝さんは、富士山を始めとした自然をすごく大切にされてきたと思います。
可能ならお答えいただければと思うんですけど、自然関係でいいますと、川勝さんが在任期間中に熱心に取り組んでこられたリニアの自然のことに関して、川勝さんが「JRと対話をすることが必要なんだ」と言われてきた項目に関して、県とJRの方で対話がすべて終了しました。
これについて、もし何かお答えいただけること、思っていることがあれば。
<川勝平太前静岡県知事>
そうですね。南アルプスはですね、ユネスコエコパークでしょ。だから人類の共有財産なんですよ。
そこを「10キロだけ掘る」って言ってましたよね。だけど工事用トンネルだけでも5キロでしょう。導水路のトンネル11キロでしょ。導水路のトンネルってこんなもんじゃありません。車が通れる、(手で大きく広げて)こんなもんですよ。それを11キロ掘るわけです。
それから先進坑が本坑と並んで掘るでしょう。それから斜坑を掘るでしょう。だから合計すると40キロをゆうに超す、50キロ近くなるわけですね。そう言わないでしょう。
■「国立公園を保全することは国家の義務」
<川勝前知事>
地球社会というか、人類の共有財産として、国連の一番重要なユネスコが認めているものにですね、そういう形で傷をつけるというのは、僕は地球倫理に悖る(反する)のではないかと思いますね。今これだけ破壊し尽くしてきた、日本も公害の問題がありました。
世界中で希少資源をめぐって地下資源を掘りまくっているわけですね。今、中国もそれに乗り出していますし。ですから、そうしたものに対して、日本は自然を大切にしてきましたから、警鐘を鳴らさないといけないと。
リニアはリニアとして効用があることはわかっていますけれども、南アルプスは国策として国立公園になっているわけですよ。これを保全することは国家の義務です。
■「地球倫理に悖ると思う」
<川勝前知事>
JR東海さんは、「静岡が10キロのトンネルを掘らせないから、2027年の完成ができません」と。ところがですね、社長さんがお代わりになって、「いや、遅れているのは静岡だけではありませんでした」と。各県で遅れているわけですね。
しかもお金がものすごくかかっています。お金も増えてますよね。国から3兆円の財投をもらってですね、さらにお金をかけてやるというわけで、これは地球倫理に悖るなというふうに思いますし、長いこと虚言も吐いておられたと。
つまり、2027年までに静岡以外のものは全部できるんだけど、静岡だけができないから開業できないと。
しかし実際は、私が辞める直前、新しい社長さんがですね、具体的な、どこが遅れているか、何年かかるかということ(を示した)。だから、正直であることは何にも増して重要です。
ましてやこれが公共のものであれば。だから、それを虚言で過ごしてきたと。
■「富士山が怒る」
<川勝前知事>
浜岡(原発)もそうでしょう。ニセのというか、フェイクの報告書を上げて、それで平然としていたと。これは富士山が怒りますよ。ですから、富士の前にして恥ずかしいことはしてはならないと。そういう思いを共有する、それが原点になって。ですから、話せばわかると。
これを「間違っているから、嘘つき」と言って殴り飛ばすというわけではありません。しっかり日本の、なんて言いますか、静岡を含めてですね、知的レベルは高いですよね。
150年前から世界一ですよ。識字率世界一でしたから。明治維新の時ですら。今は二人に一人が大学に行くとか、しかも新聞を読んでるでしょう。
それ以外のいろんな情報が入ってるじゃないですか。それにも嘘を言ってきたということがわかったと。
だから、話し合いでやっていくというのは当然のことであって、有無を言わせない、是非もなしにバシっとやるということは日本人はしません。これは武士道に反する。
■「工事現場を作りたいなら工事現場に行くまでの道を」
<記者>
そんな中で対話が終わったということに対して思うところと、着工に関しては鈴木知事の政治判断になりますけれども、どんなことを(お考えですか)。
<川勝前知事>
この間、山崩れがあって、山奥に入る道が閉ざされたために山に残された人がいたじゃないですか。40人くらい。工事現場というのは、数十人どころじゃありません。数100人働くんですよ。しかも何年も働かなくてはいけません。そこで病気になったらどうするんですか。
けがしたらどうするんです。救急車が行けませんよ。ヘリコプターも行けますか、こんなV字型のところ。そこに行くための道、つまり工事現場をつくりたいというなら、工事現場に行くための道ですね。
これは三ツ峰落合線、あれ5キロあります。まだできていないでしょう。それから市道閑蔵線というものがあります。これは2.5キロで直接井川に出られるんですね。
こういうところをちゃんと掘っておけば、南アルプスに登りたい人もいらっしゃるから、またそこから降りてくる人もいると。ここをやって初めて工事現場の人たちの安全が守れると。だから、工事現場をそこで着工していいと。
■「働く人たちの安全を考えるのは基本中の基本」
<川勝前知事>
工事用トンネルを5キロ掘らしてくれと言う前に、そこに行って実際に働く人たちの安全を考えないといけないというのが基本中の基本だと。市道閑蔵線に行ってみてください。こんなに(手でジグザグを表現)していかなくてはいけませんよ。
しかし、直線でいけば2.5キロです。それからもう一つの三ツ峰落合線は5キロですね。その前、山道ですよ。5キロ掘って出たところはまだダムのこちらですから、そこから降りていって、ようやくダムを越えて井川に入るんですね。
それすらできていない。その奥の奥に、しかも二軒小屋のさらに奥ですよ。そこが工事現場になるわけです。
たまたまちょっと河原が広がっているから、そこに行くのが大変だから、そこの工事用のトンネルを5キロも掘らせてくれと。実は本坑の半分は最初に掘らしてくれと。工事用のトンネルです。
その前に、ほとんど下請けで働くのは静岡の県民の会社の方じゃないかと思いますね。そういう人たちの安全を考えるのがですね、関係者すべての責任であるというふうに思います。
■「倫理に反するようなことをしてはいけない」
<記者>
対話が終わった後はどうですか。
<川勝前知事>
終わってませんよね。私はそういう意味では。まだまだそういうことができていますかということを尋ねないといけないと。
つまり、南アルプスのトンネル工事についての環境保全をどうするかということについて、ちゃんと栽培(保全・管理)していくと。そこに行く前の道ができていなければ、前提条件ができていないと。それについて話されたという報道は私は聞いていないわけですね。
だから、ともかく倫理に反するようなことをしてはいけないと。一番の間違っていることはですね、「言行に恥ずるなかりしか」という言葉があるでしょう。
海軍五省の一つです。一番大事なのは、恥ずるようなことをしてはならないと。
政治的判断のその前にですね、倫理的な判断というものがきっちりと共有されていないといけないというふうに思います。今、地球倫理に反するようなことが起こらないように心から願っているというのが私の考えです。以上です。
<記者>
最後に、在任中、丁寧に丁寧に、自然の問題であるとか、水の問題を考えてこられたと思うんですけど、知事を辞められてからわずか半年くらいで、本当にいつ静岡工区を着工するんだという話になっているかと思うんですけど。いい意味で言えば、もう物事がどんどん進んで行っているような印象を受けるんですけども、その辺りはいかがですか。
<川勝前知事>
急がば回れということです。










































































