子育てに「AI」ってアリ? 赤ちゃんが泣く理由を判別するアプリ 賛否両論...無料サービス実施予定だった三島市が開始時期の先送りを決める

有料サービスの"無料展開" 三島市が開始時期を先送り

泣いている赤ちゃんの気持ちをAIが判定する「あわベビプレミアム」というアプリがあります。

会費が1万円以上の有料サービスですが、静岡県三島市は2歳までの子育て家庭を対象に4月20日から無料でサービスを提供することを計画していました。

SBSが3月に三島市で行われたアプリの体験会の様子を取材し、記事を配信したところ、SNSで3日間で400万回以上閲覧されるなど、大きな注目を集め、SNSでは多くのコメントが投稿されました。

「めちゃくちゃ有り難い」「なぜアプリに聞くのか」「親の本能や子どもを見る力、コミュニケーション能力の低下につながるのではないか」

賛成、反対、さまざまな意見が寄せられるなか、三島市は無料サービスの開始を延期することを4月16日に発表しました。

AIが泣いている赤ちゃんの気持ちを11種類に分類

スマホアプリ「あわベビプレミアム」は、徳島大学医学部在学中の医学生が中心となって創業したスタートアップ企業「クロスメディスン」(徳島県徳島市)が開発しました。

赤ちゃんの泣き声15万件を学習したAIが、声の「長さ」や「変化」、「高低差」などから泣いている赤ちゃんの気持ちを11種類に分類し、赤ちゃんの感情を可視化するというものです。

(1)眠い(2)空腹(3)甘え(4)驚き(5)さみしい(6)暑い(7)寒い(8)不快(9)腹痛(10)げっぷがしたい(11)体調不良・ストレス

アプリを体験した父親は...

3月26日、三島市でアプリの体験会が開かれました。ある父親は、膝に乗せていた泣いている赤ちゃんにスマートフォンを近づけます。

アプリの分析は5秒ほどで終了し、判定は【甘え】でした。

<体験会に参加した父親>
「泣くとなぜなのか分からないので、お腹がすいたのかなとか、ただただ不安になってしまう。1個ヒントがあると気持ちが楽になるかな」

深刻な「産後うつ」の予防もねらいに

赤ちゃんが泣き止まない時に不安を感じる保護者は少なくありません。厚生労働省が所管する研究(2013年の報告)では、初めて出産した母親を調べると、産後2週間で「産後うつ」の疑いがある人の割合は24.7%にもなるそうです。

出産・育児にあたる母親の4人に1人が孤立してして、大きな不安や心の問題に直面するのです。

アプリを開発したクロスメディスンの中井代表は、産後うつの予防も狙いのひとつだと話します。

<クロスメディスン 中井洸我代表>
「泣き声が辛くて、夜泣きも辛くて寝られないとか、そういう“負のスパイラル”を『あわベビ』を通して変化させることができて、赤ちゃんを育てること、子育てをすることが楽しいと思う人が増えていって、結果的に産後うつも予防されたりとか、地域の少子化対策にも貢献できたりとか、そういうのを目指して行きたい」

先送りになった背景にあるのは...

三島市が無料サービスの開始を先送りした背景にあるのは、インターネットで記事を読んだ人が寄せた多くの意見です。

市の取り組みに賛成する意見とともに、慎重さを求める反対意見なども多く投稿され、市にも問い合わせが相次ぎました。

好意的な投稿では、「夜泣きが多くて限界まで追い詰められた身からすると、このアプリはめちゃくちゃ有り難い」「パニックになりそうな時の精神的なお守りになる」「親の不安を軽くする方向に公的支援が向いたのが興味深い」など。

その一方で、「なぜアプリに聞くのか」「人間本来の勘が削がれていく」「親の本能とか子どもを見る力、コミュニケーション能力の低下につながるのではないか」といったAI技術に対する慎重な意見も多くありました。

「対面」や「電話」での育児相談は継続

三島市がこのアプリに期待しているのは、子育てにおける「孤立化」を防ぐための選択肢を増やすことです。

市では、市役所の窓口や「保健センター」で、保育士や保健師などの専門家が【対面】や【電話】での育児相談にのる、従来の取り組みは継続しています。

ただ、そういった公的サービスを活用できていない家庭があり、深夜で電話ができない時間帯があるのも実状です。そういった人たちに対して、アプリであれば選択肢を増やすことができると三島市では考えています。

三島市こども未来課の加藤裕子課長は「育児相談を利用する家庭から『育児の困り事』の聞き取りも新たに行って、より良い形でサービス提供を目指したい」と話しています。

すべてを網羅できるようなサービスがあるわけではないため、「どういった組み合わせをしていくことで子育てで困っている家庭をサポートできるのか」を、三島市ではこれからも考えていきたいということです。

他のパパ・ママの「泣き止んだ」をシェアできる機能も

アプリでは、11の感情のごとにユーザーが赤ちゃんを泣き止ませるためにやってみて効果があった対処法を入力することができます。

「対処法ランキング」というページで、効果があった対処法をランキング形式で見ることができます。

ユーザーが互いに「こうすると泣き止んだよ」というワザを紹介し合い、支え合う機能です。

3月に行われた体験会の参加者は、他のパパ・ママの「泣き止んだ」をシェアできるのは便利だと話していました。

クロスメディスンでは、三島市の子育て家庭から「あわベビプレミアム」の使い勝手などのフィードバックを受けて、アプリの性能改良につなげていく考えです。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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