「外国人と調和しないと成り立たない」多分化共生が選挙の課題になるも、旅館や消防団で活躍する外国人材の“戦力” 2025年を振り返る③

「LIVEしずおか」では今週、2025年を振り返るシリーズ企画をお伝えします。

2025年7月の参議院選挙では、外国人を巡る政策が大きく議論されました。約12万8000人の外国人が暮らす静岡県。「多文化共生」の現状を取材しました。

熱海の老舗旅館「従業員の2割」が外国人

「ありがとうございました」

熱海の老舗旅館で接客にあたるのは、ネパール国籍の従業員です。従業員の2割程度がネパールなどから来た外国人です。

<神奈川県からの宿泊客>
「担当してくださった方が良かったのですごい満足度が高いです。すごい親切で。外国の方でした」

<熱海聚楽ホテル 森田金清社長>
「働くために日本にいらしている方も多いですから、モチベーションがもともと高い。非常に我々として戦力になっています」

8割の従業員が暮らす社員寮は、駅から徒歩5分ほどの好立地にもかかわらず、家賃は光熱費込みで1万4000円。

<パリヤル・マニタさん>
「何でも相談できる。聚楽に来てよかったと思います」

2021年から住み込みで働くパリヤル・マニタさん。接客や通訳としての業務に加え、SNSの発信も担当しています。しかし、マニタさんはここ最近、ある不安を抱えています。

SNSでの誹謗中傷…選挙戦での議論も影

<パリヤル・マニタさん>
「人はどこの(国の)人でも悪い人はいるし、いい人もいるから。外国人、日本人でなく人だから。外国人はこうだと差別はしない方がいい」

不安に感じているのは、SNSなどで急増した外国人に対する否定的な投稿やコメントです。2025年7月の参院選では、外国人政策や受け入れ体制などがクローズアップされました。

<熱海聚楽ホテル 森田金清社長>
「外国人と調和して、仲良くやっていかないと商売として成り立たないと思う」

深刻な少子高齢化の波。日本人の働き盛りの人口は年々減少し、2050年には5000万人を切るとみられています。一方で、国内に住む同年代の外国人の人口は年々増え、2050年には日本人の10%を超える587万人となる推計です。

消防団員11人の分団に飛び込んだ29歳

12月7日の地域防災の日。先輩からチェーンソーの使い方を学ぶマツオ・アフォンソ・カイオ・ロドリゴさんの姿がありました。袋井市消防団浅羽第5分団で最年少の29歳です。

<マツオ・アフォンソ・カイオ・ロドリゴさん>
「地震があった想定で訓練しています。日本に来たときに一番最初に怖かったのは地震ですね」

マツオさんは、6歳のころ父親の仕事の関係で磐田市に来ました。5年前からは袋井市内で塗装業を営んでいます。地域の祭りをきっかけに消防団に誘われ、2025年4月、入団しました。

<先輩団員>
「もともと地元にいなかったのにこれだけ地元を思って色々やってもらえるのは、すごい心強いと思いますし、立派だなと思いますね」
<マツオさん>
Q. そういわれてますけど?
「うれしいですね」

「交流していけば日本人も海外の人に溶け込む」

分団の定員は40人ですが定員割れの状態が続いていて、2025年11人です。

<袋井市消防団 渡辺幸広副本部長>
「やはりこれからの未来を担うためには、すごく新しい存在だと思っています。これからの少子化で人が少ない中でのすごいきっかけになったかなと思う」

<マツオさん>
「自分もそうですけど、周りから声をかけられてやっと溶け込んでいく感じだった。どんどん交流をしていけば、日本人の方も海外の人に溶け込むしその逆もあると思う」

産業や地域の担い手として社会を支える外国人材。県は2025年から12月を「多文化共生月間」と定め、外国人と地域の人が交流する機会を増やしています。

<静岡県多文化共生課 前田和人課長>
「外国の方、日本の方も安心して暮らせる多文化共生の必要性はもっと広報をして、周知をしていきたい」

問われる多文化共生のあり方。受け入れ側と外国人との相互理解を深めていくことが求められています。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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