「戻ってくる人がどれくらいいるのか想像がつかない」竜巻被害からまもなく3か月 支援金届いていない被災者も…=静岡・牧之原市

国内最大級の竜巻で静岡県牧之原市や吉田町に被害が出てからまもなく3か月です。住む場所を変えた人もいれば家を直して元の場所で生活する人もいて、復旧は進んでいますが被災地からはいまも不安の声が聞こえてきます。

牧之原市に住む平賀正廣さん。空き家だった住宅に、妻と保護犬たちと11月から住み始めました。

<平賀正廣さん>
「こうやって振り返ると、よくあれで2か月ちょっとやったなと思うけど」

9月5日、県内に猛威をふるった台風15号。牧之原市と吉田町で国内最大級の竜巻が発生し、約2400件の住宅に被害が出ました。

発災からまもなく3か月。足場が組まれ修理が進む住宅がある一方、いまだ多くの家にブルーシートがかかっています。

<平賀正廣さん(2025年9月)>
「こんな感じ。少し倒せる。荷物が載っていて、これ以上倒せない」
Q. この姿勢、長時間はどうですか?
「つらいですよ」

被害が大きかった牧之原市細江区で暮らしていた平賀さん。竜巻で屋根は飛ばされ、天井の崩落も進んでいたため、発災から10日間ほど車中泊をしていました。屋根の修理はしたものの、建物の損傷が激しいため、市内の別の場所に引っ越すことを決めました。

<平賀正廣さん>
「3軒くらい見た。一番最初にここを見たが、荷物とか何も入っていなかったから。他の2軒は荷物入ってるんだもん。ベッドから家具から全部入っちゃってて、片付けなきゃいけないんだもん。それだけでお金かかるじゃん」

すぐに入居できるという理由で選んだ新居。7年間使われていなかった空き家ですが、新しい家での生活は快適だといいます。

<平賀悦子さん>
「寒かったし。今はお風呂もあるしね、快適ですね。最高」

一方で、不安が残るのが支援金の支給です。

<平賀正廣さん>
Q. 引っ越し費用は?
「出てない。最初の見舞金の5万円は出たんだけど、それだけだよ。50万円も出てきてない。早く出してもらえなかったら何にもならないよ。この状態じゃみんなアップアップだよ」

生活の再建を支援するために支給される「被災者生活再建支援金」。牧之原市では、11月末までに107件の申請があり、これまでに45件の被災者に入金されました。しかし、いまだ支援金が届いてない被災者もいます。

大規模半壊から修理へ

家を修理して住み続ける人もいます。

<堀田徳章さん>
「シャッターをつけています。これで完了というか。あとはこまごまとしたところを」

堀田徳章さんの家は大規模半壊と認定されましたが、外壁などの工事を行い、まもなく修理が完了します。こちらの地域には、25の世帯が暮らしていましたが、竜巻の被害で、ほとんどが全壊もしくは大規模半壊と認定され、現在は8世帯しか住んでいません。人が少ないことで、防犯面に注意を払っています。

<堀田徳章さん>
「知らない車が入ってきたりだとか、夜に車のヘッドライトの明かりが見えると、犬を連れて出てみたりだとか、ちょっとした防犯はしています。コミュニティが崩壊してしまったので、戻ってくる人がどれくらいいるのか想像がつかないので、地域がどうなってしまうのかは不安の1つ」

竜巻被害からまもなく3か月。住まいを移した人、住み続ける人、どちらにも課題が残っています。

"被災者生活再建支援制度"の流れは

いまだ入金されていない世帯もある被災者生活再建支援金ですが、書類を申請した後、市町の確認作業、県の確認作業を終え、都道府県センターでの最終審査があり、支給される流れになっています。

過去の能登半島地震の被災地である石川県輪島市でも、入金までに最速で2か月。申請時期によってはそれ以降の給付となったケースもあるということで、牧之原市の対応が決して遅いわけではありません。

支給までに要するこの手順をどう見直すのか。今後起こり得る災害に向けて、考える必要があるといえます。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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