「唯一無二の空間。新たな歴史を紡いでいきたい」貴重な文化財を民間活用で未来につなぐ ブライダルに古民家カフェ...全国で広がる動き【SDGs】

長い歴史の中で生まれ、地域の貴重な財産として受け継がれてきた文化財。時代が変わり、維持や管理などの負担が課題となっています。文化財の価値は残したまま違う形に再生させていく。民間を巻き込んだ動きが静岡県内でも進んでいます。

静岡市の海岸沿いに1940年に建てられた旧マッケンジー住宅。茶の貿易商として静岡茶の普及に尽力したダンカン・マッケンジーさんと、社会福祉家として活動し静岡市の名誉市民第1号になった妻のエミリーさんが暮らした住宅です。


「こちらが元々書斎として使われていた部屋です。こちらは当時のタイプライターです。元々エミリーご婦人が使われていたと聞いています。今後はギャラリースペースとしてマッケンジーご夫妻の歴史だったりとか、そういったものをご覧いただけるような部屋として活用できればと思っている」

旧マッケンジー住宅は1997年に国の登録有形文化財になりました。しかし、建物の老朽化が進んだことから、静岡市は1億8千万円をかけ改修工事を実施。所有者にとって文化財を維持していくには大きな負担が伴います。こうした中、旧マッケンジー住宅を別の形で再生しようという計画が進んでいます。

<石川支配人>
「歴史的価値のある建物、そして何年たっても決して色あせることない自然の景色、この唯一無二の空間を誰もが訪れることの出来るような、そんな場所にできれば」

市から管理・運営を受託した東京のブライダル大手「ノバレーゼ」は、住宅を含めた土地一体を結婚式場やレストランに活用すると発表しました。最大で120人が入る会場や駿河湾を一望できるチャペルなどを新設し、2026年3月のオープンを目指します。

<石川支配人>
「新たな歴史を紡いで、世の中を元気にしていけるような時間を提供していきたいなと考えている」

旧マッケンジー住宅は、建物の価値を損なわないようにさまざまな用途で活用されていく予定です。

このような文化財の民間活用は全国的に広がりをみせています。

<星野リゾート 星野佳路代表>
「監獄であったことを感じていただきながら、快適にすごしていただくことが重要」

星野リゾートは2023年、奈良県にある「旧奈良監獄」を、最高級ブランドである「星のや」にすると発表。国も2019年の文化財保護法の改正で「保存」だけでなく「活用」を促進していく方針を打ち出しています。

<静岡県政担当 坂口将也記者>
「静岡県焼津市にある登録有形文化財の原田家住宅です。こちら中に入ってみますと、実はカフェになっているんです」

2018年、登録有形文化財になった「原田家住宅」は元衆議院議員の原田昇左右さんの生家です。長く保存や活用方法の模索が続いていましたが、3年前、古民家カフェに生まれ変わりました。


「玄関に入ってすぐ目につくのがこの大きな三段梁になります。三本というのがとても珍しいそうで、貴重だそうです。玄関に入ってすぐ『わーすごい』という声をたくさんいただきます」

建物は当時の趣を残しています。文化財の活用は、昔の姿を知る地元の人にとっても喜ばしい取り組みです。

<地元の人>
「自分の子どもが小さい時にここで遊ばせてもらったり、ちびっ子広場がここあったんですよ」

<地元の人>
「昔の若かりし頃を」
Q.そういうのもいいですか?
「いいですよ」

<藤井店長>
「外側を見たことあるけど中に入ったことがないという方がたくさんいらっしゃったので、この地域の皆さんと一緒に文化財を活用していけたらと思っている」

これまでの「保存」から「活用」へ。新たな価値を創造し、文化財を未来につないでいきます。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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