
今、長野県の八ヶ岳で見ごろを迎えている花畑が注目されています。この花畑、実は静岡県ゆかりの2人の経営者がタッグを組んで新たに生み出したもので、今後の地方創生のお手本となることを目指す一大プロジェクトです。
長野県の八ヶ岳連峰を背に色とりどりの花々が見頃を迎えています。この花畑は、静岡県ゆかりの2人が関わり、2025年にオープンしました。
<南壮一郎さん>
「社会を変えるんだ。社会にインパクトを与え続けるんだ。そして明るくするんだ未来を」
この経営哲学を武器に、日本を代表する実業家となった南壮一郎さん。浜松で青春時代を過ごし、転職サイト「ビズリーチ」の創業者として知られるほか、2年前には日本人で初めてメジャーリーグ・ヤンキースのオーナーの一員にも名を連ねています。
<塚本こなみさん>
「365日のうちその景色が楽しめるのがたった10日かもしれない。でもその10日間に『わぁきれい、わぁすごい』と言わせましょう」
はままつフラワーパークの塚本こなみ理事長。栃木県のあしかがフラワーパークでは、園長就任後、年間100万人が訪れる人気施設へと成長させました。その後、赤字が続いていたはままつフラワーパークの園長に就任。見事に黒字化を実現するなど、再建の手腕が光ります。
長野県にある八ヶ岳農業大学校です。農業大学校は、農業の技術や経営を学び、将来のリーダーを育てる学校です。
<南さん>
「85年前にできた当校は、10数年前に、民主党政権時代の事業仕分けの一環だとお聞きしておりますが、補助金が打ち切られてからうまくいかないというのが長年続いて、ついには経営破綻寸前というところまでいっておりました。」
2024年春、そんな八ヶ岳農業大学校の再建を託されたのが、経営のプロ・南さんでした。まず着手したのは、閉鎖されていた直売所を再開するなど、ビジネスの現場で培った経験をもとに、稼げる体制づくりです。さらに南さん肝いりのプランを、6月に発表しました。
<南さん>
「再生プランのど真ん中に、『八ヶ岳ガーデンプロジェクト』。日本一の花畑を八ヶ岳に作ろう」
学校の近くに広がる、約10ヘクタールの休耕地に100万株もの花を植え、壮大な花畑をつくるという構想です。目指すのは、ただの観光地ではありません。学校の再建はもちろん、地域に新たな産業を生み出すこと。そのために声を掛けたのが塚本さんでした。
<塚本さん>
「美しい花の景色を八ヶ岳に作ってほしいというご依頼を受けまして、もう私自身は年齢的にも高いものですから、自分の人生の最後の仕事かなぁと思ってお受けさせていただくことに、勇気をもって受けました。」
<南さん>
「(今まで)様々な地方、様々な地域の皆様とこの経済を支える働き方、仕事というものをアップデートしていこうと全国を飛び回ってきました。今度は八ヶ岳から新しい地方創生のモデルを作っていきたい」
この取り組みについて農林水産省は「八ヶ岳農業大学校が、観光誘致・農産品の加工販売・教育機関との連携を通じて地域活性化と農業人材育成の両立を目指していることについては、教育機関として特色ある取組で、新規就農者の育成・輩出に向けて取り組んでいただくことを期待しております。」とコメントしています。