
静岡県の沼津市立病院は6月から最新のレーザー治療システムを泌尿器科の手術に導入しました。静岡県内では初めての導入となり、術後の回復が早くなるなど患者の負担軽減につながると期待されています。
<東部総局 金原一隆記者>
「沼津市立病院の手術室に来ています。いま内視鏡による手術の様子が公開されています。県内で初めて導入された最新のレーザー治療器が使われています」
沼津市立病院の泌尿器科が導入した「ハイブリッドツリウムヤグレーザー」というレーザー治療器は、年配の男性に増える「前立腺肥大症」と腎臓などに石ができる「尿路結石」の内視鏡手術両方に使用できるハイブリッドです。
「前立腺肥大症」の実際の手術が公開。内視鏡で患部を観察しながら大きくなった前立腺をレーザーで焼きながら削っていきます。レーザー器具の直径は、わずか1ミリ。ここから出る「ツリウムレーザー」が従来のレーザーとは大きく違います。
<沼津市立病院泌尿器科 公平直樹診療部長>
「前立腺に高出力のレーザーを当てられるので、ほとんど出血せずに手術できて、以前よりも短時間で手術効果が得られる。以前は『削って止血、削って止血』を繰り返して、出血をコントロールするのが必要な手術だった。見て分かるようにほとんど出血しない」
高出力のレーザーが組織を焼き固めていくため、出血が少なくできるので、手術時間が短くなり、術後の回復も早いといいます。このドイツ製のレーザー治療器は全国にまだ13台しかなく、静岡県内では初めての導入です。
<公平診療部長>
「前立腺肥大症、尿路結石は良性疾患だが、手術をしてちゃんと治してあげることができる。そして高齢の患者が増えている。患者の多くに福音をもたらすことができる」
さらに、別の病気の治療も合わせて行っている患者にとってもメリットがあります。このレーザー、出血が少ないため、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞の患者が使っているいわゆる“血液をサラサラにする薬”の服用を止めずに、前立腺肥大や尿路結石の治療ができるということです。