
閉山中の富士山で遭難救助が相次いでいることを受けて、山梨県が防災ヘリコプターによる救助の有料化について検討を始めました。自己負担論が高まる中、静岡県はどう対処していくのでしょうか。
<天野貴弘カメラマン>
「富士山山頂火口内です。いま、行方不明者を山岳救助隊が担架を使い、運び上げています」
後を絶たない閉山中の富士山での遭難救助。静岡県内では2024年6月、火口で3人の遺体が見つかったほか、2025年も合わせて4人が救助されています。山岳遭難の救助は基本無償ですが、ヘリコプターが出動した場合、燃料費だけで1時間40万円から50万円、人件費も含めると費用は高額になり、隊員たちにはリスクも伴います。
<静岡県危機管理部 櫻井克俊消防保安課長>
「ヘリの出動件数はコンスタントにあるという状況」
静岡県では、県の防災ヘリや県警のヘリなどが山岳遭難救助にあたります。県の防災ヘリの出動回数は2025年に入り、すでに13回。特に富士山の救助には、危険が伴うといいます。
<櫻井消防保安課長>
「(富士山は)風が吹き抜けるので、ヘリコプターで救助に行けばその風向きによってはヘリコプターもなかなか(現場に)近づけない。天候も変わりやすいので、助ける方もそれなりの危険、リスクを負っての救助ということになる」
<裾野市長 村田悠>
「タクシー代わりに救助ヘリを使うようなことがあっては、僕は絶対にならない。僕は自己負担にすべきだと思うし」
<富士宮市長 須藤秀忠>
「私は個人負担、遭難者負担にすべきじゃないかと思っているんですよ、自己責任だと」
周辺自治体のトップからは、閉山中の登山の防止につなげる意味でも救助費用の有料化を求める声が相次いでいます。富士山を訪れた観光客も自己負担を求める声が多く聞かれました。
<観光客>
「費用はしっかり救助した相手の人からちゃんと徴収すべきだと思う。なんでもかんでも公費、国費というのはちょっと違うかなと思う」
<観光客>
「(ルール)違反していたら個人的な負担になるとは思う。自己中心で勝手に上がったりするのは、迷惑かかるというのが頭に置いてから行動をすればいいと思う」
そこで、お隣の山梨県では、ヘリ救助の有料化などの検討を始めました。早ければ、富士山が閉山する時期の9月議会に条例案を提出したい考えです。すでに有料化に踏み切っている自治体もあります。
埼玉県は、山岳救助中の県の防災ヘリが墜落した事故をきっかけに、7年前(2018年)から条例で危険が伴うエリアに限り、ヘリが救助する場合の費用有料化を始めました。
負担額は、燃料費相当分にあたる5分あたり8000円です。有料化前と後の5年間では、有料化エリアの救助件数は大幅に減り(41件→24件)、埼玉県は「コロナ禍だったこともあるが、さまざまな取り組みの結果では」とみています。
静岡県の鈴木知事は、「救助の有料化は、関係部局に検討の指示をしたところ」と山梨側と歩調を合わせるとしたうえで、「まずは国で費用の自己負担のあり方を検討されることが望ましい」としています。