アメリカの関税政策、いわゆる「トランプ関税」を受け、静岡県内の企業も大きな影響を受けています。世界が混乱するなか、一方で輸入品の高騰がやわらぐのではと期待する声も出てきています。
静岡市清水区の三和酒造です。「臥龍梅」をメインに年間、一升瓶10万本分の日本酒を製造しています。世界から人気を集める老舗の蔵元に立ちはだかる大きな壁。いわゆる「トランプ関税」です。
<三和酒造 鈴木克昌社長>
「どこの蔵もアメリカ向けの輸出を考えていたと思うが、目算が狂ってしまった」
4月、アメリカのトランプ大統領は貿易相手国と同じ水準の関税を課す「相互関税」について、日本に対しては24%の関税を課すと発表しました。4月17日朝、赤沢経済再生担当大臣はトランプ大統領とホワイトハウスで面会。関税措置を巡る交渉を開始しました。
三和酒造では、約20年前から商品をアメリカに輸出していて、トランプ関税の影響を懸念しています。
<三和酒造 鈴木克昌社長>
「(日本酒を)ハワイへ輸出した段階でストップしている。(アメリカの)西海岸、東海岸へと輸出していきたかったが、出鼻をくじかれた」
静岡市葵区のステーキ店では、人気商品の多くにアメリカ産の牛肉を使っていますが産地の変更を余儀なくされています。
<STEAKGOLD金とき 臼井弘樹店長>
「国産牛の方が安くて、アメリカ産の牛肉の方が高くなってしまって。国産牛に変更してリーズナブルに提供できるように努力している」
さまざまな業界を苦しめる輸入品の価格高騰が、トランプ関税によってやわらぐのではという声もあります。
静岡経済研究所によりますと、世界各国を対象に発動するトランプ関税によってアメリカの景気が悪化するのではないかという不安から、ドルを売る動きが増えています。その結果、円高が進み、輸入品の価格が下がるとみられています。輸入食品に関しては、円高の効果がすぐには出にくいとされていますが、アメリカ産の牛肉も今後、価格が下がることが期待されます。
<STEAKGOLD金とき 臼井弘樹店長>
「(アメリカ産の牛肉が)お客さんの手元に届くときには、リーズナブルな値段で提供できるように」
世界に混乱をもたらしたトランプ政権の関税政策。アメリカと深く関わる県内企業の多くがその動向を注視しています。