
大きなゲームの筐体(きょうたい)が設置された体験会会場。参加者は「ハーベスタ」と呼ばれるショベルカーのような林業機械を仮想空間上で操る体験を楽しんだ。2本のレバーを前に押し込むと、画面の中で凹凸のある地面の上を機械が前進。立木が近づくと左右にレバーを動かして機械から伸びたアームの位置を調節。レバーについたボタンを押すとアームが立木をつかみ、装着されたチェーンソーが伐採を始めた。
アームの先にはチェーンソーや一定の長さに測り取るローラーなどがついていて、伐採から枝払い、切断加工までを一貫して行うことができる。参加者は「地形に高低差があり、リアルさがあった」「林業はチェーンソーで木を切るだけの重労働だと思っていたが、この機械を使えばいろいろな人が従事できると思う」などと感想を言い合った。
林業技師などの資格を持ち、開発に当たった同社の和田陽一さん(53)は「ハーベスタと筐体の操作感がそっくりで、使えると思った」と振り返る。「バーチャル静岡」構築にも関わった同社が県に持ちかけ、約4年かけて開発した。今後も体験会や改善を重ねる。
これまで専門的なシミュレーターはあったが、手軽なシミュレーターはほとんどなかった。県林業振興課の森高洋課長代理は「人材確保に向け、一般の人が林業に興味を持つきっかけになれば」と期待する。
シミュレーターは同区の静岡産業技術専門学校にも設置。今後、就業ガイダンスなどにも活用する予定。