障害があっても、クリエーターとして働きたい。そんな夢を後押しする事業所が静岡市にオープンしました。利用者に変化が生まれています。
YouTubeチャンネルに使われたユーチューバーの「はじめしゃちょー」のイラスト、障害のある人の就労をサポートする就労継続支援B型事業所「でじるみ」の利用者が描きました。
「でじるみ」では一人一台、ハイスペックなパソコンが用意されています。プロが使うソフトでアニメーション制作や動画編集、3Dのキャラクターデザインを行っています。
静岡市の「るな」さん。2024年5月のオープン時から利用しています。
<るなさん>
「この子のイラストの前に字体を合わせて動かす作業をしている。見た人が喜んでくれたらいいなと思って」
午前10時から午後3時まで、利用者一人一人に合わせた作業手順が用意され、デザインや映像を学んだ経験のあるクリエータースタッフが教えてくれます。
この2年間で全国に33の事業所を開設し、著名な漫画家やユーチューバーも応援しています。

障害のある人が利用できる就労系の福祉サービスは4種類あり、最も利用者が多いのは「B型」です。

しかし、仕事の内容は軽作業や清掃などが多く、「自分がやりたい仕事」を選べるかというと、必ずしもそうではない状況です。
ゲームやアニメが好きな利用者が多く、昼休みにはスタッフとの会話が弾みます。
るなさんは、高校を卒業して介護の仕事に就きました。しかし、増える一方の仕事に耐え切れず、心を病み、精神障害の認定を受けました。自宅に引きこもる毎日でしたが、SNSで「でじるみ」を知り、今は週に4回、通っています。
<るなさん>
「絵だったら一枚完成したとか、動画ができたとか、こういうところまでできるようになったんだという自信と、認めてくれる人がいるんだというのがやっぱりうれしくて。自分のものを自信に変えられる力をもらっていると、ひしひし感じる」
別の利用者が作っていたのは、チラシ。eスポーツの大会案内です。
<チラシを発注した静岡県eスポーツ連合 畑雅樹さん>
「シニアの方が見やすいような形でデザインしてみましたが、いかがでしょうか」
<しずおか健康長寿財団 中野克彦さん>
「はっきりしていて見やすいと思います」
チラシの評判は上々でした。
<「でじるみ」静岡葵管理者 平間栄一さん>
「軽作業がなかなか続かなかったり、『就労支援に行くほど、おれは障害者じゃない』という方もたくさんいる。彼ら、彼女らの気持ちをぐっと引き出せるような技術を、時代に応じてどんどんどんどんステップアップしていきたい」
「でじるみ」には、るなさんのようにもともとバリバリ働いていたけど、病気になって、身体障害や精神障害の認定を受けた方も少なくありません。障害があっても、好きなことを仕事にするチャンス、選択肢が広がりそうです。