
常葉大菊川の先発大村昂輝は持ち味の制球力を発揮し九回まで三塁を踏ませないほぼ完璧な投球。だが両チーム得点なく延長戦に突入した。攻撃はタイブレークの延長十回、今泉琥右蔵の犠飛で先制し、続く小川優人の適時打で加点。追い付かれて迎えた十一回には代打青木統真の犠飛で勝ち越したが、裏に追い付かれ、十二回に決勝点を許した。
■もえぎ色アルプス染め「よく頑張った」
菊川市に広がる茶園を連想させるようなもえぎ色に染まった三塁側アルプススタンド-。22日に兵庫県西宮市の甲子園球場で行われた第97回選抜高校野球大会に登場した常葉大菊川の応援席には300人を超える生徒をはじめ、野球部員の家族、ファンらが駆け付け、聖光学院(福島)との初戦に臨む選手たちを鼓舞した。試合は延長戦の末、サヨナラ負けを喫したが、相手側の応援団を上回る迫力ある大声援で最後までプレーを後押しした。
アルプスを率いたのは18人の応援団員。今大会からリズミカルな新曲を取り入れ、チアリーダーとともに練習を重ねて団結力を高めてきたという。2年の藪下莉緒団長は「アルプス席が楽しくなれば球場の雰囲気も盛り上がる」と一体感の醸成に努めた。吹奏楽部も打線奮起を期待して軽快な演奏を響かせ、生徒はお茶をイメージした鮮やかな緑色のメガホンを揺らした。
試合は序盤から息詰まる展開。守りのイニングでは「落ち着いて」「きっちりアウトを取っていこう」と励ます声が上がり、10回2失点の好投を見せた大村昂輝投手の次兄直輝さん(21)は「ベストパフォーマンスができている」と見守った。
両チーム無得点で迎えた延長10回。苦しい局面を打破するとの意味が込められた応援曲「Run up」を奏でると、常葉大菊川は2点を先制。スタンドは歓声に沸いた。
だが、結果は強豪相手に惜敗した。試合終了のサイレンが球場に響き渡り、アルプス席からは「よく頑張った」「また夏に戻ってくるぞ」と健闘をねぎらう声と大きな拍手がナインに送られた。