北中米W杯へ!日本代表メンバー入りが期待される“静岡県勢”の選手たち。後藤啓介、鈴木唯人ら新星の可能性は?

サッカージャーナリスト河治良幸

2026年はW杯イヤーとなる。Jリーグは半年間の“百年構想リーグ”を経て、いわゆる“秋春制”の26-27シーズンを迎えるが、今回は北中米W杯のメンバー入りが期待される“静岡県勢”を取り上げる。有力選手はもちろん、午(うま)年でもある今年は、まるで競走馬が最終コーナーから追い込みをかけるような猛アピールにも期待したい。

後藤啓介(シント=トロイデン)


第一に名前を挙げたいのは、やはりジュビロ磐田から海外に渡った後藤啓介(シント=トロイデン)だ。ベルギーの名門アンデルレヒトから期限付き移籍したシント=トロイデンで、途中出場から結果を出してスタメンの座を射止めると、前からの守備やポストプレーでも勝利に貢献。昨年11月のシリーズで“森保ジャパン”に初招集されると、短い出場時間ながら2試合に起用され、貴重な経験を積んだ。その後も強豪リエージュとのアウェーゲームで2得点し、チームを逆転勝利に導くなど、21歳でのW杯出場に向けて大きく前進している。

現在の日本代表にはエースの上田綺世(フェイエノールト)を筆頭に、磐田OBである小川航基(NECナイメヘン)、さらに町野修斗(ボルシアMG)という3人の大型FWが定着している。そこに割って入るためには個人としての評価をさらに上げる必要があるが、ボリビア戦では小川が先発、終盤には1トップ上田、2シャドーに後藤と町野が並ぶ“トリプルタワー”が誕生しており、世界と戦う“森保ジャパン”の新オプションとして認定されれば、4人が最終メンバーに名を連ねる可能性もありそうだ。

伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)


さらに磐田OBでは伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)の復帰が頼もしい。シュトゥットガルトのBチームからトップに這い上がり、2022年のカタールW杯まで残り1年を切ったところで“森保ジャパン”に初招集されると、最終メンバーに食い込んだ。本大会ではコスタリカ戦で苦い経験をしたが、その後のブンデスリーガでの飛躍的な活躍が認められて、欧州屈指の強豪であるバイエルンに移籍した。

しかし、そこから右足の中足骨を負傷してしまい、一度は復帰するも、再び負傷して長い離脱を強いられると、アジア最終予選への出場は昨年3月の2試合にとどまった。伊藤がいない間に、日本代表は鈴木淳之介(コペンハーゲン)など、新たな戦力が台頭してきており、同じく長期休養していた冨安健洋(アヤックス)が完全復帰へ秒読みと伝えられるなど、伊藤にとっても北中米W杯の最終メンバー入りが保証されている訳ではない。

しかし、バイエルンでも新年最初のゲームとなったザルツブルク(オーストリア)との親善試合で豪快なボレーシュートを決めるなど、順調ぶりをアピールしている。日本代表は3月にイングランドとの親善試合が予定されており、もう1つはスコットランドになることが見込まれている。そこで1年ぶりの代表復帰を果たすことができれば、カタールから連続となるW杯のメンバー入りの可能性はかなり高まるはずだ。

鈴木唯人(フライブルク)


もう一人、北中米W杯のメンバー入りが大きく期待されるのは清水エスパルスから直接、欧州に渡った鈴木唯人(フライブルク)だ。2023年にフランスのストラスブールで欧州での挑戦をスタートさせたが、十分な出番を与えられないまま、買取オプションは行使されなかった。一度帰国すると、当時J2だった清水で3試合に出場。貴重な勝ち点と大きなインパクトを残して、デンマークのブレンビーに移籍。12得点6アシストという大活躍で個人の価値を上げて、欧州5大リーグ1部へのステップアップを果たした。

“森保ジャパン”では2024年6月に行われた、アジア二次予選のミャンマー戦でA代表デビューをしていたが、最終予選のラストとなる昨年6月のオーストラリア戦はスタメンに抜擢されながら、結果を出せずにチームは0-1の敗戦という苦い経験をした。さらに9月シリーズのアメリカ戦でもスタメン起用に応えられず、チームも0-2の完敗を喫している。

24歳になった現在、新天地のフライブルクでは4-2-3-1のトップ下で主力を担い、存在感も高まっている。最終メンバーの発表前に、最後のアピールチャンスとなる3月シリーズに招集されるためにも、引き続き所属クラブでの活躍を続けてもらいたい。これまで2列目の主力を務めてきた南野拓実(モナコ)が膝の負傷で長期離脱しており、本大会までの完全回復は難しいという見方もある。そうした中で、鈴木のような気鋭のアタッカーのブレイクは、清水のみならず日本のサッカーファンの希望となるはずだ。

関根大輝(スタッド・ランス)


さらに現在は“森保ジャパン”のメンバーから外れているが、静岡出身でシズガクOBでもある関根大輝(スタッド・ランス)の奮起にも期待したいところだ。2024年のパリ五輪を経験した大型の右サイドバックは、“森保ジャパン”で3バックの一角としてもポテンシャルを高く評価された。しかし、柏レイソルから移籍した所属クラブのスタッド・ランスが、リーグドゥ(フランス2部)に降格してしまい、すぐに移籍できない境遇であるため、代表でも立場が難しくなったことは否めない。それでも同僚の中村敬斗が、夏の移籍が叶わずスタッド・ランスに残っても、腐らずにアピールして“森保ジャパン”の主力に居続けていることを考えれば、関根にも十分なチャンスはあるはずだ。

旗手怜央(セルティック)


関根と同様、静岡学園の先輩である旗手怜央(セルティック)も、最終メンバー入りに向けて、ここからもう一段ギアを上げていって欲しい。セルティックでは引き続き中盤の主力に定着しているが、4連覇中のクラブは予想外の不振に陥っており、監督交代など混乱が見られる。旗手自身も得点やアシストという結果を積み上げられていない状況だ。本人も認めるように、当たり前のようにやれている状況から、もう一つ殻を破っていけるかどうかが、層の厚い“森保ジャパン”の中盤に割って入る鍵になる。3月はスコットランド代表との対戦が見込まれ、実現すれば会場はセルティックのホームタウンであるグラスゴーになることが予想される。招集されれば、旗手にとっては大きなチャンスになるだろう。

森下龍矢(ブラックバーン)


欧州組では掛川市の出身で、磐田のアカデミー育ちの森下龍矢(ブラックバーン)もW杯メンバー入りを期待したい一人だが、年末にチャンピオンシップ(イングランド2部)の試合で、左足首を負傷したことが伝えられる。欧州では本職のサイドバックに加えて、サイドアタッカー、さらにはボランチも経験するなど、究極的なユーティリティー選手として価値を高めており、日本代表でも重要な存在になりうるが、まずは早く元気な姿をピッチで見せてほしいものだ。

三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)


怪我からの復帰ということでは、御殿場で活動していたJFAアカデミー福島の出身である三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)が昨年11月に復帰し、パフォーマンスを上げてきているのは明るい情報だ。最終予選のラストとなった昨年6月に初招集されたが、その後、負傷離脱を強いられていた。攻撃的なポジションであればどこでもこなせる三戸は、幅広い起用ができる点で森下にも通じるものがある。26人というメンバーの枠を考えても面白い存在だが、まずは3月のシリーズでアピールするチャンスを得るために、オランダで圧倒的な活躍を見せていけるか。

国内チームで活躍する静岡県勢は?

もちろん“国内組”にも滑り込みのチャンスはあるはず。昨年のE-1選手権でA代表デビューしたMF宇野禅斗(清水エスパルス)は背番号を6番に変更して、清水で絶対的な存在になっていけるか。ボールを奪う能力や運動量に疑いの余地はないが、佐野海舟(マインツ)や藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)に負けないインパクトを残すという意味では、稲垣祥(名古屋グランパス)をも上回るような、直接ゴールに絡むような活躍が必要になるだろう。

三戸と同じJFAアカデミー福島OBのFW植中朝日(ガンバ大阪)も、8得点4アシストという横浜F・マリノスでの結果を大きく上回るアピールで、滑り込みを狙って欲しい。現在U-23アジア杯に参加している嶋本悠大(清水エスパルス)や川合徳孟(ジュビロ磐田)も、チームを率いる大岩剛監督が伝えるように、若手の有望株たちが2028年のパリ五輪を目標にするのではなく、あくまでA代表に割り込んでいく姿勢を見せることが、静岡サッカーの活性化にもつながっていくはずだ。



 
シズサカ シズサカ

タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。世界中を飛び回り、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。

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