<プリンスリーグ東海>初勝利を挙げた藤枝東の植松弘樹・新監督と井上凱晴主将にインタビュー。2人が語った伝統校を率いる覚悟


サッカーのU-18プリンスリーグ東海第3節で、藤枝東が1−0で浜松開誠館を下して初勝利を挙げた。試合後、今季から母校の指揮をとる植松弘樹監督と、主将の井上凱晴選手(かいせい、FCブリンカール安城出身)に話を聞いた。

植松弘樹監督

【プロフィール】1982年11月22日生まれ。42歳。藤枝東高ー筑波大を卒業し、2005年度に教員に。静岡中央高校定時制、島田商業高、清流館高の監督を歴任し、母校の藤枝東に赴任して2年目。高校時代はキャプテンで右サイドバック。2000年度の富山国体少年男子の部で静岡の準優勝に貢献した。

ー試合を振り返ってください。
浜松開誠館さんは勢いがあるし、最後の際(きわ)のところは勝負強い。試合前に「そこだけは絶対にやらせないように。自分たちが成長するきっかけになるゲームにしよう」という話をして試合に入りました。足をつる選手もいましたけど、最後まで体を張ってやってくれたかなと思います。

相手が前からプレスに来る中で、いかにそこを外しながらボールを動かすかというところを意識しながら練習してきました。特に中盤のところはワンタッチをうまく使いながら、いい距離感でボールを動かしていこうと。うまくできた部分もありましたが、まだ判断が遅いところも課題としてはある。もっと積み上げていかなければいけないと感じています。

ー勝った瞬間のガッツポーズが印象的でした。
ほっとしました。第1節も第2節も先制しながら追いつかれ、苦しい状況でした。選手もすごくフラストレーションが溜まるゲームだったと思います。自分も藤枝東の監督として初めてのシーズンを迎える中で、なかなかうまく勝ちきれず…。そういったこともあって、やっぱりホームの藤枝総合(運動公園サッカー場)で勝ちたいという思いはすごくありました。

技術的な部分や戦術的な部分だけではなく、メンタリティの部分でも「今日はやるんだ」という思いを選手と共有できて、そういう姿をピッチの中で表現してくれました。

でも、もっともっと上を目指してやっていかなきゃいけないし、まだ課題も当然あるのでしっかり修正していきたいと思います。

ー勝ち切れたのはメンタルの部分が大きいですか?
前節は先制したのに立て続けに失点して、自信を失いかけてしまっていた部分がありました。メンタリティの部分は「絶対に怖がらずに、勇気を持ってプレーし続けよう」と言っていました。

今日は前半を終えて帰ってきた選手たちも手応えを感じていたようで、ハーフタイムにはそういう声掛けが出てましたし、そこで満足せずに「相手は絶対にこのままじゃ終わらないよ」という話もしていました。気持ちの部分でも切れずにやってくれました。

高校時代、富山国体の準々決勝・北海道戦でヘディングシュートを決める植松監督=2000年10月


ー監督になって変わったことは?
リーグ戦が始まってから1週間がすごく早いです。自分自身と向き合う時間も増えましたし、サッカーのこと、選手のこと、チームのことも考えつつ、すごく刺激のある充実した時間になっています。インターハイ(県高校総体)まで1か月切ってるので、そこに向けてもしっかりと積み上げをしていきたいと思います。

ー伝統ある母校を率いる重圧は?
ないと言ったら、それは嘘になると思います(笑)でも、いい意味で緊張感を持ってサッカーや子どもたちと関われるという部分では、誰もが経験できるわけではないので、責任と自覚を持ってやらなきゃいけないと思っています。

まだまだ自分自身も勉強しなければいけないことがたくさんあります。代々先輩方が積み上げてきてくれたものをしっかりと受け止めつつ、でも進化させていかなきゃいけない部分もありますので、使命感を持ってやっていかなければと思っています。

ー全国優勝を狙うチームを指揮することになって、練習ではどんなことを意識していますか。
練習内容というよりは、質とか強度の基準をいかに、どこに設定するかということは常に意識しています。練習でうまくいったからOKじゃなくて、試合だったらどうなのか。静岡学園や浜松開誠館、藤枝明誠、全国で言えば大津(熊本)などの基準を意識しながら。選手としっかり共有し、明確にしていかなければいけないと思っています。

ーどこで自分の色を出していきますか。
うまい選手はたくさんいますが、もっともっとタフになってほしいと思います。選手も自分自身に矢印を向けて、ゴールに向かう、ゴールを奪いにいくという本質的な部分の質を高めて、強度高くやらなきゃいけないと思います。

伝統の藤枝東のサッカーにプラスアルファをして、もっともっとクリエイティブでアグレッシブにやりたい。その意識はちょっと変えていかなきゃいけないと思っています。

MF井上凱晴(FCブリンカール安城出身)


ー試合を振り返ってください。
開誠館は気持ちの込もったプレーをしてきましたが、その中でも攻撃陣がしっかり1点をもぎ取ってくれました。守備陣は必死に90分間跳ね返して、ゴールキーパーも無失点で抑えてくれて、いい流れで戦うことができました。

ーようやく初勝利。今の気持ちは?
本当に鳥肌が立つような、初めて味わった感情でした。スタンドで応援してくれる仲間もいて、声援に応えたい気持ちもありましたし、勝った瞬間は保護者の方もみんなで喜びを分かち合えた。本当にうれしかったです。

ー植松監督から言われていたことは?
点を取った後に緩くなりがちなところがあるので、チームをしっかり締めろと言われています。

ー自分が本職にしているポジションは?
2節まではボランチだったんですけど、今日は右サイドバックでした。チームの競争を激しくしていくことをテーマにしているので、他のボランチの選手に負けてられないなと思います。でも、与えられたポジションで、その仕事をしっかり全うすることも大切だと思っています。

ー自分の武器やストロングポイントはどこですか。
「止めて蹴る」の技術には自信があります。守備では、相手のカウンターの芽を最初につぶしにいけるのが自分の武器かなと思っています。

ー出身は?
愛知県の碧南市生まれで、安城市のクラブチームでサッカーをやっていました。

ーなぜ藤枝東へ?
伝統のパスサッカーにひかれたことと、高校サッカー選手権予選を観戦した時に先輩の泉新之助さん(現早稲田大2年)のプレーを見て、「この人と一緒にピッチに立ちたい」と思って。

ー来てみてどうでしたか?
サッカーに対する意識が高い集団だし、競争も激しいので、その中で周りの刺激を受けて毎日やってこれたのかなと思います。

ー誘いはあったの?
いや全く。推薦とか裁量枠でもなく、一般入試で。

ー勉強もできるんですね!?
今はだいぶ落ちてしまったんですけど、中学時代はちょっとだけ(笑)

ートップチームに上がったのはいつですか?
1年から2年に上がる時の新チームになったタイミングです。昨年はインハイ予選はボランチで、プリンスリーグはサイドバックなどで出場させてもらっていました。

ー昨年11月の全国高校選手権予選の準々決勝、飛龍に負けた試合には出ていた?
途中出場で、自分がボールを失ってそのまま同点ゴールを奪われました。自分たちが先輩たちの道を閉ざしてしまったことは忘れられません。

インハイで負けた時はめちゃくちゃ泣きましたが、選手権の時は泣けませんでした。自分があまりにもふがいなくて、自分への怒りっていうのか、「なんでこんな下手くそなんだ」っていう思いがあって、とにかく悔しくて、腹が立ってきて泣けなかったです。

この気持ちはサッカーの舞台でしか返せないと思うので、絶対にリベンジして全国に行ってやるっていう強い思いはあります。

ー個人とチームの目標を聞かせてください。
伝統ある藤枝東のキャプテンですし、このチームを引っ張っていって全国優勝に導ける存在になりたいです。チームとしてはインハイと選手権の優勝、プレミアリーグ昇格。この三つを達成するのが目標です。

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