【サッカージャーナリスト・河治良幸】
9月にアメリカ遠征を行い、メキシコ、アメリカと対戦する日本代表。森保一監督を支える名波浩コーチが「この2カ国との対戦というのは、ものすごい財産になる。現状の物差しが分かるし、(W杯の)開催エリアでやれる」と語るように、北中米W杯の開催国とアウエー、もしくはそれに近い環境でできるというのは貴重だ。
10月、11月もそれぞれ強豪国とのマッチメークが期待できるが、どちらも日本での親善試合となるので、位置付けは大きく変わってくる。この9月の2試合で、当落戦場から大きくアピールに成功する選手も出てくるはず。ただ、新シーズンが開幕した欧州で戦う”森保ジャパン”の主力メンバーや有力候補に怪我人が続出しており、できるだけベストなメンバーを組みたい森保監督にとっても痛手だ。

それに加えて、ベルギーからドイツ1部にステップアップを果たした町田浩樹(ホッフェンハイム)も、ブンデスリーガの開幕戦で膝を負傷してしまい、長期離脱が確実となった。仮にふくらはぎに問題のある板倉滉(アヤックス)も招集回避となれば、センターバックは新天地となるオランダの名門で開幕スタメンを勝ち取った渡辺剛(フェイエノールト)が軸になりそうだ。

ボランチも最終予選の主力メンバーだった田中碧(リーズ)と守田英正(スポルティング)が相次いで、所属クラブのリーグ戦で負傷交代を強いられており、軽傷でない場合は招集を見送らざるを得ない。キャプテンの遠藤航(リバプール)、6月の活動で代表復帰を果たした佐野海舟(マインツ)は健在で、ベルギーのシント=トロイデンからドイツ1部にステップアップした藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)も主力定着を狙える立場にあるが、この競争に誰が食い込んでくるのか。

静岡学園出身の旗手怜央(セルティック)はボランチとシャドーの2ポジションで、さらに価値を上げる格好の機会になりうる。本来なら、ここの競争にE-1選手権メンバーである宇野禅斗(清水エスパルス)も加わるはずだが、帰国初戦となった7月20日の横浜FC戦で負傷交代してしまい、そこからピッチに戻れていない。非常に残念だが、まずは清水での完全復活と次回以降のアピールに期待したい。



2シャドーは比較的、順調に欧州のリーグ開幕を迎えた選手が多く、怪我人続出のセンターバックやボランチに比べると、最終予選のメンバーから、あまり大きな入れ替えは無いかもしれない。ただ、プレミアリーグ開幕前のコミュニティ・シールドで負傷した鎌田大地(クリスタル・パレス)はようやくチーム練習に復帰した段階で、森保監督も大事をとって選考から外す可能性もある。その中で、デンマークからドイツ1部に飛躍した元清水の鈴木唯人(フライブルク)は強豪国を相手に真価を示すチャンスだ。

1トップは上田綺世(フェイエノールト)、小川航基(NEC)、町野修斗(ボルシアMG)らが本大会に向けて、激しいポジション争いを繰り広げていくと見られる。大きなサプライズがあるとすれば、ベルギーでハイスケールなゴールを連発している後藤啓介(シント=トロイデン)だが、9月末から10月にかけて、チリで開幕するU-20W杯のメンバー入りも十分にありそうだ。