2025年を彩った“静岡県勢”サッカー選手でベストイレブンを選んでみた!欧州からJリーグまで幅広い豪華メンバーがずらり

サッカージャーナリスト河治良幸

2025年も終わりが近づいている。静岡のサッカー界でもさまざまなことが起こった。今回は総括に代えて現在の所属クラブに限らず、静岡県出身もしくは中学・高校年代を静岡県で過ごした選手を対象に、男女問わず“静岡出身・静岡育ち”ベスト11を選出した。

GKには梅田透吾


GKは梅田透吾(清水エスパルス)だ。3年ぶりのJ1復帰となった清水で、アカデミー出身の梅田がリーグ戦でスタメンのチャンスを掴んだのは第24節の横浜FC戦だった。

IAIスタジアム日本平で、クリーンシートで勝利を支えた梅田はスタメンに定着し、度重なるビッグセーブで、チームに勝ち点をもたらした。終盤戦は大量失点してしまった試合もあるが、大きな経験を得て、Jリーグを代表するGKへのステップを踏んだ感がある。

DFは立田悠悟、古賀塔子、米田隼也

DFは立田悠悟(ファジアーノ岡山)、古賀塔子(フェイエノールト)、米田隼也(V・ファーレン長崎)の3人。特にフォーメーションは意識していないが、清水エスパルスのアカデミー育ちである立田と、御殿場を拠点にしていたJFAアカデミー福島で育った古賀はセンターバック、福岡県出身で高校年代を静岡学園で過ごした米田は左サイドバックをメインに活躍している。

立田は2023年に清水から柏レイソルに移籍。今年はJ1に初昇格した岡山での挑戦を選んだが、3バックの右側を担当し獅子奮迅の守備を見せた。清水や柏で散見されたミスも少なく、持ち前の積極性に落ち着きが加わった印象だ。

古賀はなでしこジャパンの常連メンバーだが、オランダのフェイエノールトからイングランドWSLのトッテナム・ホットスパー・ウィメンに移籍。“女子のプレミアリーグ”である欧州最高峰の舞台で奮闘している。

米田は長崎の主力として、8年ぶりのJ1昇格に大きく貢献した。

MF 静岡から世界に羽ばたく選手も

中盤は古賀と同じJFAアカデミー福島のOBである谷川萌々子(バイエルン・ミュンヘン)、U-22日本代表に選ばれた川合徳孟(ジュビロ磐田)、ポーランドからイングランドのチャンピオンシップ(2部に相当)に挑戦の場を移した森下龍矢(ブラックバーン)、静岡市生まれで常葉橘で中高6年間を過ごした榊原琴乃(三菱重工浦和レッズレディース)、そして“シズガク10番”だった松村優太(鹿島アントラーズ)の5人を選出。

谷川はなでしこジャパンでの活躍もさることながら、欧州屈指の名門であるドイツのバイエルン・ミュンヘン・フラウエンで主力に定着し、MFながら数々のスーパーゴールで女子サッカー界に衝撃を与えている。5大会ぶりの世界一を目指す、2027年の女子W杯でエース的な存在になるべく、順調な成長を見せているのが頼もしい。

川合は磐田のユースから昇格して1年目ながら、中盤からゴール前にかけて“違い”を見せた。10月4日のヴァンフォーレ甲府戦で見せたスーパーゴールは語り草だ。将来的には世界に羽ばたいていくはずだが、まずは磐田を主力として、2026-27シーズンでJ1昇格に導くために、百年構想リーグからのブレイクに期待したい。

掛川市出身で磐田のアカデミー育ちである森下は、サガン鳥栖や名古屋グランパスで躍動的なサイドバックとして鳴らしてきた。ポーランドの強豪レギア・ワルシャワで、サイドのアタッカーとして覚醒的な活躍を見せると、新天地のブラックバーンではセントラルMFとしても評価を高めている。

日本代表としてはアジア最終予選のラストとなるインドネシア戦でゴール。その後の代表活動には招集されていないが、森保一監督も高く評価するチャンピオンシップでしっかりと活躍を続けていけば、来年6月に開幕する本大会に滑り込むチャンスは十分にある。

榊原は高卒でAC長野パルセイロ・レディースに加入し、半年でノジマステラ神奈川相模原に移籍すると、2024-25シーズンには栄光の10番を背負った。そこでの活躍が認められる形で“WE三強”の一角である浦和にステップアップ。猶本光や塩越柚歩がライバルの日テレ・東京ベルディベレーザに去った浦和の中盤で、中心選手としての存在感を見せている。

現在21歳で、まだまだ伸び盛り。なでしこジャパンには2023年のアジア競技大会で一度選ばれただけだが、ここからチャンスはあるはずだ。

松村に関してはここで改めて、多くを語る必要も無いかもしれないが、今年の鹿島では“スーパージョーカー”としての働きが見事だった。持ち前のスピードと強い気持ちを武器に、投入されれば必ず流れを変えて、鹿島に勝利を呼び込む。優勝タイトルがかかった最終節の横浜F・マリノス戦ではスタメン起用に応えて、レオ・セアラによる決勝点のアシストを含む、2つのゴールに絡む大車輪の活躍だった。

FW それぞれの場所で進化するあの2人

FWは後藤啓介(シント=トロイデン)と中野誠也(ヴァンラーレ八戸)の二人をチョイスした。

後藤はベルギーの名門アンデルレヒトから、より多くの出場機会を求めてシント=トロイデンに期限付き移籍。日本代表の谷口彰悟や同じ静岡出身の松澤海斗など、日本人の頼れる先輩も在籍する環境でのびのびとプレー。

ゴール前の決定力に加えて、ポストプレーでも成長を感じさせる。11月には念願のA代表に招集され、終盤の出場ながら2試合に出場。大きな刺激を得たようだ。

後藤と同じ浜松市出身で磐田のアカデミー育ちである中野は、昨年所属したアスルクラロ沼津では、なかなか満足なパフォーマンスを見せることはできなかったが、ヴァンラーレ八戸で百戦錬磨の闘将である石崎信弘監督の信頼を得て、大復活を果たした。ほとんどのリーグ戦にスタメン起用され、5得点アシストという記録以上にオンオフの効果的なプレーで得点に絡むだけでなく、前からの守備の貢献も高かった。

ベスト11に迫る実力者

またベスト11には入れられなかったが、J1の2位に躍進した柏レイソルで、前半戦の好調を支えた渡井理己の名前も、次点として挙げておきたい。9月12日のヴィッセル神戸戦で、右膝に重傷を負ってしまったのは残念だが、じっくりと治して“秋春制”のスタートとなる2026-27シーズンには元気な姿を見せてほしいものだ。
(文:サッカージャーナリスト河治良幸)
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タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。世界中を飛び回り、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。

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