
鬼頭:秋葉監督はヒデさんの市立船橋高校サッカー部の後輩ですね。ヒデさんは何学年上ですか。
ヒデ:僕は1971年生まれで、秋葉監督が1975年生まれなので、4つ上ですね。いつ頃からサッカーを始めたんですか。
秋葉:僕は小学3、4年生ぐらいから。キャプテン翼を見て。あと、女の子にモテたかった。やっぱりサッカーをやってる奴はモテるんですよ。
ヒデ:サッカーはやっぱり水が合ったんですか?
秋葉:野球を否定するわけではないですが、「バントしろ」とか「盗塁しろ」とか、なんでお前の言うこと聞かなきゃいけないんだ、みたいな。サッカーは監督が「パスしろ」と言っても、ドリブルしたり、シュートしたり自由。ドリブルだって前も横も後ろも行けますから。
市立船橋時代の思い出「10億円積まれても…」
鬼頭:市船時代、練習がきつかったなとか思い出はありますか。秋葉:めっちゃきつかったです。お金をいくらもらっても、あの3年間は嫌です。
ヒデ:俺も10億円積まれてもやらないです。あの時だけ野球をやっとけば良かったって思いました。とにかく朝から晩までやる感じ。だから本当に走り負けしないんですよ。「サッカーボールはいつ触れるんだろう」って思っていました。
秋葉:その代わり、延長で負けたことないです、走れるので。延長に入ったら「勝った」と思っていました。
アトランタ五輪、「奇跡」の裏で…

ヒデ:アトランタ五輪の時のチームはどうだったですか。
秋葉:もう個性の強い奴ばっかりで、一切まとまらないんですよ。
ヒデ:それこそ選手たちが、色々バチバチあったって聞いたことあります。
秋葉:もうその通りですね。前線の選手は、世界を相手にどれだけ自分たちの力が通用するのか、後ろは後ろでどれだけ守備力が通用するのか、みたいな。やっぱ前と後ろで分かれますし、そうするとどっちかにしなきゃいけない。日本の立ち位置を考えたらブラジルとかナイジェリアよりは力が劣るので、守備から入ろうって言いましたけど、前の選手は猛反発していました。
ヒデ:ブラジルに勝った時はどんな感じでしたか。
秋葉:あれはもう奇跡ですよ。
「楽しいことだけでなく、辛苦も共有したい」
鬼頭:振り返りたくないですけど、昨シーズンを振り返りますか。ヒデ:勝負弱さって言っちゃうともう一言で終わっちゃいますが、どんなふうに今シーズンに生かしていこうと思っていますか。
秋葉:そこが分かったら簡単に勝てると思うんですが、それを探す1年にするだけでかなり変わると思います。
鬼頭:昨年はシーズン始まって開幕から7戦勝ち無し。そこから監督をお受けになった。監督を引き受ける時はどんなお気持ちでしたか。
秋葉:もちろん最初は申し訳ない気持ちもありました。リカルドさんを支えられなかったのは非常に自分としては不甲斐なかった。でも、このエスパルスの持っている力や選手の持っている力って、こんなもんじゃないだろうと。選手の持っているポテンシャルをしっかり引き出して、必ず上がるんだっていう思いで引き受けましたね。
清水はフットボール愛に溢れている地域。本当に応援してくれる皆さんのパワーや愛情みたいなものは日本一だなと思います。

ヒデ:僕も静岡のサッカー応援番組を、千葉の僕がやらせていただくっていうのはすごく嬉しかった。多くのサポーターたちが歓喜する瞬間っていうのは最高だろうね。
秋葉:あの空気感は本当に味わってほしいですね。
鬼頭:今年のスローガンは「ワンファミリー」なんですが、リスナーからは「ファミリーじゃなくてチームでもいいんじゃないか」と。ファミリーにこだわったのは。
秋葉:いいことだけじゃなくて、辛いこと、苦しいことも一緒に共有したい。一緒に喜ぶだけじゃなくて、どんな苦しいことがあろうと、ともに一緒に戦ってもらう。仲間とかそういうのじゃなくて、本当の家族として、痛みを伴ったとしても一緒になって、そこからまた立ち上がる。僕はファミリーってすごくいい言葉だなと思っています。
ヒデ:家族は縁が切れないからね。苦しい時こそファミリーですね。
リフレッシュは?ゲン担ぎは?
鬼頭:秋葉監督にメッセージがいっぱい来ています。「リフレッシュはどうしていますか」秋葉:僕は旅行したり、温泉入ったり。最近は岩盤浴にはまっています。
鬼頭:リスナーから。「静岡でお気に入りのお店があったら教えてください」
秋葉:うなぎはおいしいですよね。こんなにうなぎを食べた年はなかったです。
ヒデ:昨シーズン、手応えがあった戦術や、選手が変わったなっていう瞬間はありましたか。
秋葉:ターニングポイントだったのは、4月の東京ヴェルディ戦だと思います。あそこで前半アディショナルタイムに同点、後半終了間際に勝ち越しゴールを決めて2-1で逆転勝ちできた。みんなが「こいつについていってもいいかな」って思ったのでは。

鬼頭:リスナーから。「ゲン担ぎはありますか」。
秋葉:選手の時はしなかったんですよ。でも今は選手にお願いするしかないので、勝った時のパンツを履いてみたり、同じ道を通ってみたり。
鬼頭:リスナーから。「選手とのコミュニケーションで大切にしていることは?」
秋葉:嘘をつかないこと。どこかでつじつまが合わなくなって、おかしくなっちゃうので。もちろん言いづらいこともありますけど、嘘をつかないっていうことはすごく意識して話すようにしています。
ヒデ:それぞれに言い回しや語尾を変えて声をかけるっていうことは徹底しているんですか。
秋葉:1人1人ちゃんと個性がありますし、打たれ強い選手や打たれ弱い選手がいますし、選手によって違います。いい選手がめちゃくちゃいたので、18人しか選べない、11人しか出せないっていうのが、毎週本当にきつかったです。
負けを拒絶しろ
ヒデ:プレーオフ最後の試合(国立でのヴェルディとの試合)で、PKを取られてしまった時、高橋祐治選手にどんなふうに声をかけたんですか。秋葉:あの時は祐治だけっていうより、勝ったら全員のおかげですし、負けたら全員の問題なので、「負けて泣くんじゃねぇ」って全員に言いました。負けを受け入れるんじゃなく、拒絶してほしいんですよ。そういうメンタリティがないと、常勝軍団になれない。

ヒデ:アマチュア集団じゃなくてプロだからね。
秋葉:ただ、その後が大変でしたね。やっぱりいろんなことがあったので、祐治にはいつも電話していました。
ヒデ:そこはもうファミリーだからね。
サンタナの穴を埋めるのは
鬼頭:リスナーから。「エースだったチアゴサンタナ選手の移籍にはびっくりしました。外国人選手の補強ってあるんですか」秋葉:もちろん使えるものを使わない手はない。ただ、誰でもいいってわけじゃない。日本人でも素晴らしい選手がいますから。そこに見合う選手がちゃんといれば、そこはもうクラブにお願いしますので、もう少しお待ちください。
鬼頭:市立船橋高校から入る後輩の郡司選手はどんなプレースタイルですか。
秋葉:まず、点を取ることにはすごく特殊なものを持っていますね。点を取るツボを押さえているっていうのは、ストライカーとしてはめちゃくちゃ大事な要素です。
鬼頭:今シーズンはどんな戦い方を。
秋葉:静岡でやらせてもらっている以上、超攻撃的、超アグレッシブっていうのは変わりません。その中で選手の良さ、選手に合った戦術を引き出すっていうのも僕の腕の見せ所だと思います。
新加入選手にどういう特徴があるのかを把握し、選手が一番力を発揮できるようなサッカーのスタイルをまた構築していきたいなと思っています。
ヒデ「だからプロなんです、我々は」
鬼頭:引いて守るチームに対して点を取るには?ヒデさん、今シーズンはどうしたらいいの?ヒデ:僕らも、ライブではお客さんによって笑うポイントが違うので、ネタ合わせをしても、結局板に立ってしまったら、やることを変えてしまってもいいという世界。どんな姑息な手段でも、笑いを取る、点を取ればいい、結局そういうことかなと。
秋葉:めちゃくちゃ共感します。要はピッチで起きていることを把握すること。
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ヒデ:そうそう。今どういう状況なのか、「そのままそうやっても勝てないでしょ」って。だからプロなんです、我々は。お金を払って見に来てくれるサポーター、お金を払って見に来ているファンの前で、やっぱりスベれない。スベったところを見せちゃいかんし、「金返せ」って話になる。だからこそ、常に変えていくっていうのは一緒だと思います。
鬼頭:今年チームを引っ張っていってほしい選手は。
秋葉:30代の選手たちはもう勝手に引っ張ってくれるので、20代でバリバリ働き盛りの選手がどんどん引っ張ってほしいです。アカデミー出身の北川航也や西澤健太、宮本航汰もいますから。
ヒデ:最後に皆さんにメッセージをお願いします。
秋葉:2023シーズンの悔しい思いを忘れることは絶対ありません。この2024シーズン、いかに勝負強くなるのか。全員の力で必ず昇格したいと思います。我々だけでは絶対無理ですから、今後も引き続き熱く、熱く応援よろしくお願いします。