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7月17日 朝の編集長セレクト

 おはようございます。きょうも暑くなりそうです。まだまだ身体が暑さに慣れていません。熱中症には十分にご注意ください。
 さて、このコーナー〈知っとこ〉は今日も4回更新を予定しています。この時間は、注目記事を4本セレクトしてご紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉

熱海土石流2週間 捜索に重機本格投入 二次災害リスク復旧阻む

 熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から17日で2週間。これまで主に手作業だった現場に15日から、重機が本格投入され、行方不明者の捜索は加速する見通しだ。一方、土石流の最上部の土砂が不安定なため県などが警戒を続け、住宅が損壊を免れた人も含め、被災現場への立ち入り規制が続く。二次災害リスクが、復旧や支援を阻んでいる。

前日から中型重機が使用可能になり、作業が迅速化した捜索現場=16日午前11時40分、熱海市伊豆山(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
前日から中型重機が使用可能になり、作業が迅速化した捜索現場=16日午前11時40分、熱海市伊豆山(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 警察、消防、自衛隊による捜索活動は1300人態勢で行われた。小型と中型の重機計19台を投入し、倒壊家屋が密集する場所でがれきの撤去に当たった。現場には依然、濁った水が流れ込み、作業が一進一退を繰り返す場所も少なくない。「行方不明者を早く、親族に会わせてあげたい」。捜索に当たる関係者は言葉に力を込める。
 被災者の避難生活は長期化の様相だが、生活再建支援に向けた動きも出始めた。
 県によると、県と熱海市が市役所に開設した住まいに関する相談窓口の予約件数はこれまでに計71件。15、16の両日で20組が相談に訪れた。ただ、被災者生活再建支援法に基づく支援金の給付やローン減免、仕事、通学といった多様な相談にはまだ応じられていない。市は7月中に罹災(りさい)証明書を順次発行する方針で、その前提となる家屋の被害調査にドローンの空撮写真を活用する方向だ。
 市によると、504人が避難所になっている市内ホテルに身を寄せている。県は、盛り土崩落箇所への雨水流入防止など二次災害を防ぐ応急対策を講じるが、1カ月以上かかる見通しだ。
 市社会福祉協議会は15日夜、災害ボランティアの事前登録を一時停止した。既に約3800人が登録してくれたものの、活動開始のめどが立たないため。担当者は「心苦しいが、被災者のニーズを聞きながらボランティアができる活動を探りたい」と述べた。

 ■行方不明の方々(16日午後4時現在)
 小川徹、太田和子、坂本玲子、臼井直子、古川謙三郎、西沢友紀、好川美代子、瀬下陽子、松本孝広、松本光代、太田佐江子、太田幸義、草柳笑子、坂本光正、坂本紗花、松本季和
 (いずれも熱海市伊豆山、敬称略)

静岡・長沼交差点の渋滞解消へ 国1、静鉄またぐ南北道立体化 国交省、市が事業方向性発表

 国土交通省静岡国道事務所と静岡市は16日、静岡市葵区の国道1号長沼交差点の慢性的な渋滞を解消するため、南北に走る県道山脇大谷線の一部を立体化すると発表した。交差点北側の静岡鉄道の踏切と国道1号をまたぐ形となる。老朽化が進む長沼大橋の架け替えも一体的に進め、物流の円滑化や防災機能強化を図る。

長沼交差点(中央)の渋滞解消へ立体化を検討するエリア。長沼大橋(手前)の架け替えも一体的に進める=16日午後、静岡市(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
長沼交差点(中央)の渋滞解消へ立体化を検討するエリア。長沼大橋(手前)の架け替えも一体的に進める=16日午後、静岡市(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 国と市、県でつくるワーキンググループが同日の会合で方向性を取りまとめた。長沼大橋は東西に走る東海道新幹線、JR東海道線をまたいでおり、さらに北側の国道1号、静岡鉄道を含めた連続立体交差の南北道路が完成すれば、周辺の交通円滑化が期待できる。
 山脇大谷線をどこまで立体化するかは今後詰める。事業費や着工時期は未定。沿道の住宅や店舗への影響も想定され、地域の合意形成を図りながら事業を具体化させる。
 長沼交差点の対策を巡っては、国道1号を立体化する案も浮上したが、静岡鉄道の踏切待ちに伴う渋滞が解消されないとして山脇大谷線を立体化する方向でまとまった。供用開始から50年以上が経過する長沼大橋の架け替えを一体的に進めることで、事業の効率化につながると判断した。
 静岡市は昨年11月に期成同盟会を設立し、国主導での対策実施を働き掛けてきた。田辺信宏市長は「立体化の方向性が示されたことは大変喜ばしい。国や県と引き続き連携し、事業化に向け取り組む」とコメントした。
 地元住民からは歓迎の声が上がる。千代田学区自治会連合会の杉山輝雄会長(73)は「長沼交差点の渋滞が緩和されれば、迂回(うかい)路となっている周辺の生活道路の安全を図ることができる。できるだけ早く実現してほしい」と話した。

RSウイルス患者最多、乳幼児流行 静岡県、早期受診を呼び掛け

 静岡県は16日、乳幼児の代表的な呼吸器感染症「RSウイルス」について、6月下旬に県内で過去最多の患者報告数を記録し、それ以降も流行が継続していると発表した。保護者らがマスク着用と手洗いを励行し、「症状が出たら早期の受診を」と呼び掛ける。

静岡県庁
静岡県庁
 県によると、6月21~27日に県内89の小児科定点医療機関から報告された患者数が1施設当たり8・67人に上った。比較できる2007年以降で最多だった17年9月11~17日の4・10人を大きく超えた。
 それ以降も6月28日~7月4日が6・64人、7月5~11日が7・33人と高水準で推移した。患者の大半が2歳以下。地区別は東部2・69人、中部7・44人に対し、西部が12・17人と高い。
 感染流行の原因について、県は新型コロナウイルス対策が徹底されてきた影響を挙げる。対策によりここ1年半ほどRSウイルスの流行がなく、「(RSウイルスの)免疫のない子が多くいるためではないか」という。
 RSウイルスは2歳までにほぼ全員が一度は感染するとされる。生後数カ月の乳児は気管支炎や肺炎などの重篤な症状を引き起こすケースがある。

 ■集中治療患者5人 こども病院
 静岡県の記者会見に同席した県立こども病院(静岡市葵区)の坂本喜三郎院長は、15日時点で集中治療が必要なRSウイルスの小児患者5人が同病院に入院していると報告した。医療負担が大きく、この状態が続けば小児医療全般に影響を与えかねないとの見解を明らかにした。
 坂本院長によると、内訳は超重症患者が4人、重症患者が1人。重症レベルでない患者も6人いて、計11人が入院中という。
 同病院は集中治療室(ICU)を20床程度運用している。RSウイルス患者だけに対応するわけではなく他の疾患で予定された手術の延期を要請する恐れが生じつつあるとした。
 坂本院長は対応策として県内の小児科と連携し、「危機回避体制を構築している」とした。その上で「必要な小児医療が実施できなくなる可能性がある。重症化にならないタイミングで受診し、治療してほしい」と強調した。

静岡県内初「デルタ株」クラスター 御殿場のスポーツスクール【新型コロナ】

 静岡県内で16日、新たに42人の新型コロナウイルス感染が確認された。御殿場市のスポーツスクールで発生したクラスター(感染者集団)で、陽性者2人がインド由来の変異株「デルタ株」に感染していたことが分かった。県は県内初の「デルタ株」クラスターの発生を認定した。

静岡県内の新型コロナウイルス感染者(16日現在)
静岡県内の新型コロナウイルス感染者(16日現在)
 県は同日、新たに10人のデルタ株感染を明らかにした。県東部を中心に五つの管轄保健所にまたがり、県内陽性者からの感染が多い。県内の同株感染は計31人になった。
 1日当たりの新型コロナ新規感染は4日連続で40人台。沼津市が15人など県東部の感染者が多く、同地域の病床使用率は25%に上昇した。県健康福祉部の後藤幹生参事は感染者が多数出ている同市について、感染経路不明者の割合は少ないとして「現時点で市中感染の状況ではない」との認識を示した。
 県は14日に公表した沼津市の未成年者1人について、医療機関から発生届が取り下げられたため、陽性者数から除外した。県内の累計感染者数は9785人(再陽性者を含め9786人)。
地域再生大賞