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鉄ちゃんの心をつかめ!

 静岡県内の鉄道会社がファンの心をつかもうとユニークな企画を打ち出しています。鉄道標識をモチーフにした缶バッジや敷石の販売、人気アニメとのコラボなど知恵を絞った企画の数々を紹介します。
〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・尾原崇也〉

大井川鉄道「笑える」缶バッジ SNSで話題、ネット販売開始

 大井川鉄道(本社・島田市)が新金谷駅の売店限定で販売するユニークな缶バッジがSNS上で話題を呼んでいる。鉄道標識をモチーフに「私の人生はワンマン運転を行っております」などくすっと笑える一言が並び、2019年の発売以降約2万個を販売した。5日には缶バッジを第1弾商品とするオンラインショップを立ち上げた。

ユニークな文言が人気の缶バッジを紹介する梶山さん。「警戒」の標識をアレンジしたバッジも人気=島田市の大井川鉄道新金谷駅
ユニークな文言が人気の缶バッジを紹介する梶山さん。「警戒」の標識をアレンジしたバッジも人気=島田市の大井川鉄道新金谷駅
 考案したのは商事部の梶山優太さん(30)。「ワンマン-」の缶バッジがツイッター上で大きな反響を呼び、「回送 明日から本気出す」など次々にアイデアを形にした。無線連絡がなかった時代にホームで使われた「強風雨警戒」などの丸い標識をデザインに取り入れた商品では「上司警戒」「振り込め詐欺警戒」とバリエーションを増やし、人気商品になったという。
 バッジはデザインから全て手作りで、これまで数千種類を制作した。オンラインでは人気商品を中心に77種類をそろえ、同鉄道で走る車両のヘッドマークやテールライトをモチーフにした限定品も販売する。
 1個300円(税込み)。同社は「新型コロナの影響で旅行が控えられる中、ネットでも大鉄の魅力を発信したい」と話している。オンラインショップ名は「変な缶バッジ」。問い合わせは同社<電0547(45)2230>へ。
 (2021/04/06)

若手「鉄ちゃん社員」中心にアイデア-大井川鉄道

 大井川鉄道(島田市)が熱烈な鉄道愛好家「鉄ちゃん」向けのユニーク企画を次々に打ち出し、好評を得ている。同社の「鉄ちゃん社員」らが一般の観光客には理解してもらえなくても、鉄道ファンの心をくすぐるイベントを考案。トーマス人気の裏で、新たな誘客策の模索を続ける。

10月にデビューする「西武E31形電気機関車」。記念ツアーでは、ドカ停や参加者限定撮影会を予定する=島田市の大井川鉄道新金谷駅
10月にデビューする「西武E31形電気機関車」。記念ツアーでは、ドカ停や参加者限定撮影会を予定する=島田市の大井川鉄道新金谷駅
  同社は政府系ファンドの再生支援を受け、新しい経営体制が発足した2015年8月から、愛好家の要望に応えようとマニアックなイベントを積極的に増やすようにした。電気機関車に旧国鉄の客車をけん引させる「昭和へタイムトリップ」や、元南海電気鉄道21000系の特別乗車ツアーは、定員80人超えのヒット企画。九州ゆかりの蒸気機関車に九州で使用された「門デフ」と呼ばれる除煙板を期間限定で取り付けた運行も話題になった。
  大鉄によると、鉄ちゃんは乗車好きの「乗り鉄」や、鉄道写真撮影の「撮り鉄」、珍品コレクターの「収集鉄」などに分かれる。それぞれのかゆいところに手が届くイベントを用意できるかがポイントという。
  16年春に行った「長距離鈍行列車ツアー」は新金谷駅-千頭駅間を1日3往復する内容で、「あなたは全行程を乗りきれるか?総乗車距離223・2キロ、総乗車時間10時間57分」と銘打ち、乗り鉄にアピール。第2弾開催につながった。鉄道ライターの杉山淳一さん(50)=東京都=は「懐かしさや面白さがいっぱい詰まった企画は大きな鉄道会社ではできない」と大鉄の発想の転換を評価する。
  10月に予定している「西武E31形電気機関車デビュー記念ツアー」では、途中駅で約30分の長時間停車「ドカ停」を設定し、ファンに古き良き時代の鉄道の雰囲気を感じてもらう。広報担当の山本豊福さんは「思い切った企画の先に、新しい世界が見えてくるかもしれない。今後もお楽しみに」と話す。
                
 ■鉄ちゃん社員 大活躍
  大井川鉄道の愛好家向けイベントは、同社の20~30代の鉄道好き社員約10人でつくるワーキンググループが中心となってアイデアを練り、企画運営事業部がまとめている。前田忍社長は「自分には想像できない企画ばかり。本当に大丈夫なのかと思った」と、社員にアイデアを求めた2年前の就任当初を振り返る。半信半疑の中で開催に踏み切ると、すぐに鉄道ファンの中で話題になり「びっくりした」という。
  前田社長は「収益に対する貢献だけでなく、従業員の主体性や士気の向上など会社のマネジメントに必要な部分にも良い影響が出ている」とみる。
 (2017/09/28)
 

天竜浜名湖鉄道は「線路の石」発売 天浜線の敷石を缶詰に

 天竜浜名湖鉄道は10日、国鉄二俣線全線開通80周年記念事業の一環で、線路の敷石を缶詰にした「天浜線・線路の石」を発売する。中身の石は、70年ほど前まで補充していた丸石を使用。時代を超えて受け継がれてきた敷石をPRし、同線の支援を呼び掛ける。

丸石の敷石が入った「天浜線・線路の石」=浜松市天竜区の天竜二俣駅
丸石の敷石が入った「天浜線・線路の石」=浜松市天竜区の天竜二俣駅
  丸石は天竜二俣駅(浜松市天竜区)の車両基地周辺で採集したもの。同社によると、1950年代までは全国的に丸石が敷石に使用されていたが、60年代ごろからより強度のある砕石が使われるようになったという。
  初回の生産は80個。スチールの缶に3~5個の丸石が入っている。缶詰の一部は、実習製品としてマグロの缶詰を作っている焼津水産高(焼津市)に協力を依頼した。
  担当者は「二俣線から天浜線まで線路を支えている丸石。多くの方にコロナ禍で苦しい天浜線を支えていただくきっかけになれば」と話している。税込み550円。天竜二俣駅売店で販売する。問い合わせは同社営業課<電053(925)2276>へ。
 (2020/10/10)
 

伊豆箱根鉄道はアニメ「ラブライブ!」とコラボ

 伊豆箱根鉄道は13日から、沼津市を舞台にしたアニメ「ラブライブ!サンシャイン‼」のラッピング電車を駿豆線で運行する。松浦果南役の声優諏訪ななかさんが12日、一日三島駅長を務め、臨時電車に出発合図を出すパフォーマンスを構内で披露した。

伍堂社長(左)とともに出発合図を出す諏訪さん=伊豆箱根鉄道三島駅
伍堂社長(左)とともに出発合図を出す諏訪さん=伊豆箱根鉄道三島駅
  ラッピングは来年1月に映画が公開されるのを記念した。映画のタイトルにある「レインボー」に掛けた鮮やかなデザインで、主役グループ「Aqours(アクア)」のキャラクターたちが描かれている。1日に2~11往復する。
  アクアの楽曲メロディーを三島駅の出発予告音にも使用する。
  伍堂文康社長から一日駅長を委嘱された諏訪さんは「たくさんの人に見てほしい」と声を弾ませた。
 (2018/12/13)
地域再生大賞