患者暴行発覚 沼津の精神科病院で起きていたことは
沼津市の精神科病院で看護師が入院患者に対し暴力を振るっていたことが分かりました。院長が21日会見し、事実を認めました。行政、警察による調べが進められています。これまでに分かっている事実、経緯を1ページにまとめました。
理由は「かっとなった」 看護師2人の暴行認める
沼津市の精神科病院「ふれあい沼津ホスピタル」で今年9月、勤務していた看護師が入院患者に暴行したとされる問題で、加藤政利院長が21日、病院で記者会見し、暴行の事実を認めた。2人の男性看護師が3日間にわたり暴行し、「かっとなった」「患者の行為が良くならなかった」と理由を説明していることも明らかにした。

病院によると、2人の男性看護師の暴行は監視カメラで、9月8、15、28日に確認された。8日は70代の男性患者が食堂で別の患者を机で押すなどしたため、40代の看護師が制止しようと患者を車椅子ごと転倒させ、左指に擦り傷などを負わせた。監視カメラの映像では転倒後に蹴ったような行為も見られたという。
15、28日は「保護室」と呼ばれる個室で、40代の男性患者が食事を床に落として食べる行為をしたため、50代の准看護師が殴ったり蹴ったりした。患者にけがはなかった。
8日の暴行は他の職員が直接目撃し、その他は9月末ごろに病棟責任者が監視カメラの映像をチェックして気付き、院内で報告。病院は2人に聞き取りをし、10月初旬までに共に謹慎処分とした。40代看護師は「かっとなった」、50代の准看護師は「以前からの患者の行為が良くならなかった」と説明したという。病院は2人への懲戒手続きを進めていたが、いずれも10月下旬に自主退職した。
暴行を確認しながら今月20日に県が立ち入り調査する直前の19日まで報告しなかった点について、加藤院長は精神保健福祉法に届け出義務がなかったためとし、「認識の甘さがあった」と釈明した。19日には県警の家宅捜索を受けたという。
〈2022.12.22 あなたの静岡新聞〉
1カ月に2回、殴る蹴る 病院内のカメラに記録
沼津市の精神科病院「ふれあい沼津ホスピタル」の元看護師が入院患者に暴行したとされる問題で、元看護師が1カ月のうちに2回にわたり、殴る蹴るなどの暴力を振るっていたことが21日、関係者への取材で分かった。沼津署も関係者への聴取など捜査を始めた。
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病院を運営する医療法人社団静岡康心会の大屋敷芙志枝理事長は21日、代理人弁護士を通じ「虐待があった場合には適切に対処するよう指導しているが、今回対応として不十分な点があったことについては真摯(しんし)に反省し、法人全体に対する再教育を徹底する」とコメントした。
県は今後も関係者の聞き取りを実施する。病院を運営する法人に対し、精神保健福祉法に基づく改善計画の提出を求める方針。
同病院では9月、別の看護師が別の患者を転倒させ、手にけがを負わせる事案もあったという。
〈2022.12.21 あなたの静岡新聞〉
発覚の端緒は沼津市に寄せられた匿名の通報
沼津市市道町の精神科病院「ふれあい沼津ホスピタル」で9月、看護師が入院患者に殴る蹴るなどの暴行を加えていたことが20日、分かった。病院によると、看護師は事実を認め、病院を退職した。県は同日、精神保健福祉法に基づく調査を始めた。
加藤政利院長は「院内で患者に対する暴行事件が発生した事実を重く受け止め、二度と同様の事態が発生しないよう再発防止に努める」とのコメントを出した。
病院のホームページによると、診療科目は精神科、心療内科、内科。病床数は293床。
〈2022.12.21 あなたの静岡新聞〉
沼津市 市内施設に虐待防止対策の徹底呼びかけ
沼津市は21日の定例記者会見で、市内の福祉施設に虐待防止対策の徹底を呼びかける文書を送る方針を明らかにした。
市は所管する高齢者施設や障害者施設などへ虐待防止策の徹底を依頼する。頼重秀一市長は「極めて残念であってはならない」と述べた。
〈2022.12.21 あなたの静岡新聞〉