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新装 松坂屋静岡店の見どころは? 早速行ってみました!

 JR静岡駅北口の松坂屋静岡店。25年ぶりに大規模改装して、4月27日にグランドオープンしました。以前とどう変わった? 改装の狙いとは? 気になるあの場所はどうなった? 1ページにまとめました。
〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・吉田直人、鈴木美晴〉

改装の目玉 本館7階に都市型の水族館

 本館7階に水族館「スマート アクアリウム静岡」がオープンしました。施設面積約1800平方メートル。44の水槽で、ハリセンボンやクマノミなど約100種2200匹を飼育しています。コンセプトは「街なかの、暮らしに寄り添うスタイリッシュな水族館」。

色とりどりの魚が泳ぐ水槽
色とりどりの魚が泳ぐ水槽
 絵画のような水槽を楽しめる「眺める」ゾーン、水生生物などの標本を顕微鏡で拡大して観察できる「見つける」ゾーン、日本の美意識「わびさび」をテーマにプロジェクター投影や生け花と水生生物が共演する「和む」ゾーンなど、館内はテーマ別ゾーンが設けられています。
 営業は午前10時~午後8時。料金は中学生以上1400円、子ども(小学生)800円、幼児(3歳以上)500円、3歳未満は無料。

新規出店は14店

■百貨店にホームセンター
 ホームセンター「ナフコ」が「TWO-ONE-STYLE(ツーワンスタイル)」を百貨店に初出店しました。これまでの強みである若い世代に加え、百貨店の顧客層への対応も目指して本館5、6階全フロアに展開しています。ピンクとイエローが印象的なウエストコースト調やブルックリン調の家具、寝具をトータルコーディネートできます。アウトドア用品やアロマ、観葉植物も並んでいます。

 


■自分磨きを楽しむフロア
 本館3階。定額制セルフエステ「ボディアーキ」、ネイルサロン「ネイルズユニーク」など外見と内面を磨くことをテーマにした店舗が並びます。



■ゴルフのコンテンツ拡充
 全国有数のゴルフ場数を誇る静岡県。ゴルフウエアやグッズ店を本館2階に拡充しました。「パーリーゲイツ」は3つのブランドをそろえ、幅広い年齢や性別に向け「おしゃれしてゴルフを楽しむ」ウエアを提案しています。


■回るお菓子売り場、跡地に「ベイク」
 本館地下1階。3月に惜しまれつつ引退した「回るお菓子売り場」。跡地には静岡県内初出店「ベイクザショップ」。工房一体型店舗で、厨房を併設しました。ここで焼いたチーズタルトや、アップルパイなども販売しています。

気になるエスカレーター 検証してみました

 「何だか速度が遅い」とSNSでも話題になった下りのエスカレーター。改装後も速度は変わっていませんでした。記者が実際に乗ってその遅さを体験するとともに、速度を計測しました。

「何だかゆっくり」と話題のエスカレーター
「何だかゆっくり」と話題のエスカレーター
 計測したのは本館の地上8階、地下1階を結ぶエスカレーター下り。乗ってみると、エスカレーターの速さは7階ー地下1階と、8ー7階間で異なっていました。
 まず、8ー7階下りを計ってみると、16秒03でした。これに対し、7階ー地下1階は、どの階もおよそ24秒で下階まで到着しました(2ー1階は1階の天井が他階より高いため31秒かかった)。8ー7階とそれ以外の階では8秒ほどの差があり、乗ってみると速度の違いがよく分かりました。
 松坂屋静岡店の担当者によると、7階ー地下1階の速度が遅くなったのは10年ほど前から。「主な客層である年配層に配慮し、乗り降りしやすいように遅くした」とのことでした。
 一方、8ー7階のエスカレーターは1968年の8階増床時に設置されました。3年ほど前に7階から8階へのアクセス向上を図るため上りと下りの位置を入れ替えた際、下りの速度調整が構造上の理由でできなくなったということです。

体験・滞在を重視「目的地となる百貨店に」

 2022年の第1期改装では全館売り場面積の約55%をリニューアルします。体験や滞在すること自体に価値を感じてもらえる空間をつくり、目的地となる百貨店を目指します。

挨拶する大丸松坂屋百貨店・澤田太郎代表取締役社長(左)と松坂屋静岡店の落合功男店長
挨拶する大丸松坂屋百貨店・澤田太郎代表取締役社長(左)と松坂屋静岡店の落合功男店長
 改装のポイントは①ラグジュアリーコンテンツの拡充②ライフスタイル提案型フロアへの再編③新たな体験や自分磨きのための大型ゾーン構築。 
 大丸松坂屋百貨店・澤田太郎代表取締役社長は「(今回のリニューアルが)完成、ゴールではなくひとつのスタート。地元静岡を盛り上げるために頑張りたい」と挨拶。
 松坂屋静岡店の落合功男店長は「百貨店が生活者のニーズに応えられていない、ビジネスモデルを変えないと生き残れないという大きな危機感があった」と明かしました。さらに「JR静岡駅前はモノを買う、食べる場しかなく、ここに風穴を開けたい。水族館に象徴されるように、滞在型の店として楽しむ時間を提供。周辺施設と手を取り合い、駅前地域を盛り上げたい」と意気込みを語りました。
地域再生大賞