外国人宿泊客数 静岡県内9月は全国ワースト2位 コロナ前の4割

 9月に静岡県内のホテルや旅館に泊まった外国人の数が、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同月比で4割にとどまり、全国で2番目の低水準だったことが20日までに分かった。中国の訪日客数の回復が遅れていることが主因。一方、中国を除く外国人全体ではコロナ前を上回り、韓国や香港、台湾などが好調に推移している。

県内の外国人宿泊者数
県内の外国人宿泊者数

 観光庁が公表した9月の宿泊旅行統計調査によると、県内の外国人延べ宿泊者数は8万6540人だった。前年同月から5・5倍に増えたが、19年比は60・3%減と落ち込んだままで、宮崎県の61・0%減に次ぐワースト2位だった。全国平均は18・9%増。17都府県がプラスに転じ、本県のインバウンド(訪日客)回復の鈍さが鮮明になっている。
中国人以外は好調続く  背景には訪日中国人の低迷が長引いていることがある。9月の中国人宿泊者数は1万6120人で、19年9月の12万8020人を大幅に下回った。外国人宿泊者数に占める中国人のシェアはコロナ前には7割を占めたが、直近では2~3割にとどまる。今年8月には中国からの団体旅行が解禁されたものの、東京電力福島第1原発処理水放出による政治的緊張の高まりなどで期待されたほどの回復にはつながっていない。
 これに対し、中国以外の宿泊客数は堅調だ。23年9月は5万4180人で、19年9月の4万7540人を上回った。静岡空港の定期便が再開している韓国が67%増の4230人と好調に推移し、香港が28%増の4430人、台湾が24%増の7580人と伸びた。米国や欧州もコロナ前の水準までほぼ回復しつつある。
 中国人の本格回復が見通せない中、多様なエリアから訪日客を取り込む戦略が重要となっている。

延べ宿泊者、9月172万人 19年比9%減  9月の宿泊旅行統計調査によると、県内のホテル・旅館に泊まった日本人と外国人の総数は172万3940人だった。前年同月から13.1%増え、19年比では9.0%減となった。
 客室稼働率は49.9%。前年同月より4.1ポイント上昇し、19年比では8.7ポイント低下した。宿泊施設別は旅館39.8%、リゾートホテル40.1%、ビジネスホテル67.1%、シティホテル68.6%など。
 (政治部・森田憲吾)

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