⚽藤枝MYFC 超攻撃的スタイルに柔軟性 来季の守備再構築、必須【J2初陣回顧㊤】

 9月上旬、まだ真夏の強い日差しが降り注ぐ練習グラウンドで行われた車座の“幹部会議”が、J2藤枝の今季の命運を分けた。8戦勝ちなし4連敗中で残留争いがちらつく中、全体練習後にけがでリハビリ中だった杉田主将がピッチに現れると、副主将の川島、水野、久富が集まった。この直後、アウェー熊本戦に勝利してトンネルを抜け「今年一番大事な試合だった」と川島は振り返る。

J2初昇格1年目のチームをけん引した藤枝のベテラン勢DF川島(右)とMF水野=10月14日の群馬戦、藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・久保田竜平)
J2初昇格1年目のチームをけん引した藤枝のベテラン勢DF川島(右)とMF水野=10月14日の群馬戦、藤枝総合運動公園サッカー場(写真部・久保田竜平)

 実はこの4人がまとめたのは、超攻撃的スタイルを掲げる須藤監督への戦術変更の提案だった。J3だった昨季から積み上げたハイプレスを武器に、開幕から2連勝、4月にも3連勝し、目標としたプレーオフ圏(6位以内)にいたが、対戦が2巡目に差しかかる頃には相手に研究され、前線からのプレスがはまらなくなっていた。
 「選手、スタッフの意見を聞き、最適解を抽出するのが自分の仕事」。須藤監督が取り入れたのは試合の流れを見て自陣に守備ブロックを敷き、攻撃も相手の背後を突くロングボールを織り交ぜる戦い方。「スタイルは不変だが、スパイスを加えた」と指揮官は振り返る。
 熊本に2―0で完勝すると、優勝した町田、3位の東京Vに引き分け、ホーム清水戦で静岡三国決戦に初勝利。完全に息を吹き返した。ただ、守備ブロックを敷いた後、攻撃に転じる機会が減少。ボール支配率で相手を下回る試合が続き、「開幕当初を思い出そう」と再び“超攻撃的”で臨んだアウェー長崎戦は1―5で返り討ちに。試合運びの安定感は引き続きの課題として残った。
 最終的に12位と健闘したが、失点数はリーグワーストの72。来季は藤枝らしさを磨いた上で、守備の再構築が必須になる。また、最後2試合を含め今季は計6試合で退場者を出し、10人の戦いを強いられた。ハイパワーで行きながら守備の判断と予測を向上させたい。「この1年で柔軟性を身に付け、戦術の引き出しが増えた。来季は勝負の年になる」。続投する指揮官は既に決意を固めている。

 難しいとされる初昇格1年目でJ2残留を果たした藤枝。今季を振り返り、来季に向けた課題を探る。
 <続きを読む>⚽藤枝MYFC 主力移籍の窮地救った雷雨順延 競争力高め、戦力融合【J2初陣回顧㊥】

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