お中元商戦 手渡し・常温品に注目 節電の夏想定し冷菓も 静岡県内百貨店

 静岡県内の各百貨店で中元の注文受け付けが始まった。新型コロナウイルスの5類移行後初の商戦で、各店は品物を対面で渡す需要増に応える持ち運びしやすい常温商品をそろえるほか、光熱費上昇で節電が広がるとみて、冷菓など暑さを乗り切る商材を用意する。関係者は「実質賃金の目減りなど賃上げ効果は感じられず、贈答市場も収縮傾向。消費者の生活実感に合わせた商品提案で状況を打開したい」と策を練る。

中元商品の見本が並ぶギフトセンター=6月上旬、静岡市葵区の静岡伊勢丹
中元商品の見本が並ぶギフトセンター=6月上旬、静岡市葵区の静岡伊勢丹

 「社会経済活動の正常化に伴い、品物を対面で贈る機会が増える。外気温に左右されない商品の需要が高まるのでは」と予測するのは、静岡伊勢丹(静岡市葵区)営業統括部の小籏大祐バイヤー。同店は地場産品約120点を集めた恒例企画「うまいら静岡」で、県内のホテルや飲食店が提供するカレーのレトルト商品、焼津市のだし専門店が手がけたつゆと浜松市の手延べそうめんのセットなどを推す。
 物価高に加え、光熱費が高止まりする中で迎える今夏は、中元を通じて「涼」を贈る動きの強まりも想定される。松坂屋静岡店(同区)は、青空にかかる虹をカラフルに表現したようかんや、凍らせたイチゴの内部にアイスクリームを詰めた菓子などを投入する。物価上昇に対応し、食用油や調味料など生活必需品は価格を据え置いて販売する。
 6月下旬時点で「賃上げによる消費の活性化は感じられない」との声は根強い。遠鉄百貨店(浜松市中区)は、中元商戦の主な顧客層を退職した60代以上が占めることを要因に挙げる。同店は飲料や菓子といった定番商品の内容量を調節して価格を平年並みに設定、物価高に悩む消費者のつなぎ止めを図る。
 一方、若者向けの期間限定店舗でも中元のチラシを配布し、顧客層の拡大を狙う。同店は新型コロナの5類移行で大人数の食事会が増えるとみて、自身や家族用に注文する動きに注目する。三宅隆史マーケティング戦略課長は「スイーツや総菜をはじめとした複数人でシェアできる商品を充実させ、ホームパーティーなどギフト需要以外にも活路を見いだしたい」と意気込む。

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