ヴィノスやまざき 事業基盤強化へ サントリー傘下に 全株譲渡

 酒類販売のヴィノスやまざき(静岡市葵区)は21日までに、サントリー(東京都)に全株式を譲渡し、連結子会社として同社傘下に入ることで合意した。ヴィノスやまざきの種本祐子社長はサントリーの経営資源を活用して事業基盤を強化し、デジタル化や人材育成を進める方針を明らかにした。

ヴィノスやまざき静岡本店=静岡市葵区
ヴィノスやまざき静岡本店=静岡市葵区

 契約は6月20日付で、株式の譲渡額は非公表。社名や経営陣を含めた雇用は維持する。
 ヴィノスは1913年に酒販店として創業し、90年代にワインの直輸入を開始した。商社を通さず消費者の声を生産者に伝えながら、商品を調達する仕組みを構築した。
 売り上げは店頭とウェブが9割以上を占める。新型コロナウイルス下でも在宅需要が堅調に推移したが、ロシアのウクライナ侵攻や物価高など不安定な事業環境を考慮し、サントリー傘下で経営基盤強化を図る判断に至った。種本社長は「デジタル化やBCP(事業継続計画)策定など時代に即した改革を進めるためにも、業績好調な今が適切」と述べた。
 両社間で互いの商品を取り扱わないという。ヴィノスは今後、顧客が自身の購入履歴や同社の推奨商品などを確認できる情報システムの構築や、次期経営陣の育成に着手する方針。種本社長は自社の独立性は保持するとした上で「生産者を支え、顧客利便性を向上させながら、市場に求められる商品を提供していく」と語った。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞