これは詐欺? 5類型で警戒 役所/金融機関/警察/医師/親族 清水署、被害防止へ確認シート

 静岡県内各所で後を絶たない特殊詐欺被害を防ごうと、清水署はサギ電話で犯人が名乗る偽の身分や内容に着目した対策を進めている。使用された言葉の分析から五つのパターンに大別し、市民が「確認シート」を使い犯行を見破る取り組み。同署は地域特有の商業施設の職員を名乗るケースなどを除き、被害の未然防止に広く役立つ手段として啓発に力を入れている。

詐欺電話確認シート(清水署の詐欺電話確認シートを元に作成)
詐欺電話確認シート(清水署の詐欺電話確認シートを元に作成)

 静岡市清水区で今年発生した詐欺被害33件(8日時点、被害額計6672万円)から傾向を調べた。詐欺グループがかたった身分は役所、金融機関、警察官、医師、親族で、8月ごろからは区役所と銀行を合わせた手口が増えた。警察官の場合は「キャッシュカードが悪用されている」、親族は「何かをなくしてしまった」、医師は「息子さんの喉の調子が悪い」など、内容は装う身分ごとに定型化していた。同署は各パターンを記したシートを作成し、列挙した内容に一つでも該当すれば詐欺だとして警戒を呼びかけている。
 今夏からは被害者宅を訪れた人間が、手渡されたキャッシュカードをすり替えて盗むキャッシュカード詐欺盗が目立った。金融機関などで被害者に金銭を振り込ませる手口と比べて第三者の目に触れにくく、迅速な発覚を避けるためとみられ、取引時間外の夕方から夜間にかけての詐欺電話も多いという。
 分析により、同署管内では特殊詐欺の被害者が全員65歳以上で、女性の被害が8割を超えることなども分かった。「喜ぶのは犯人 私はだまされない宣言!」をスローガンに掲げる同署。特殊詐欺事件を担当する鈴木達也巡査部長(34)は「被害を報じる報道を見た市民が詐欺電話を見抜き、摘発に至った事例がある。広く手口を知ってもらうことで被害防止につなげたい」と期待した。

被害者 ネット電話帳に番号、住所
 静岡市清水区で発生した特殊詐欺被害の分析では、多くの被害者の住所と電話番号はインターネットの電話帳サイトで公開されていた。清水署によると、詐欺グループが特定地域のネットデータを活用していた事例も確認されているという。
 ネット上の電話帳サイトは過去に発行されたNTT電話帳「ハローページ」などから集めた情報を載せている。代表的なサイトの一つ「ネットの電話帳」を運営する神奈川県座間市の宮部龍彦さん(44)は「掲載している電話番号や住所は紙媒体で既に広く公開されている情報。報道や行政機関もサイトを活用している」と話し、「メールなど詐欺行為に使える通信手段は他にいくらでもあり、ネット電話帳の問題とは考えていない」と説明する。
 しかし、同署によると清水区内は大部分の地域がサイト上で電話番号の検索が可能で、出典元の紙媒体と合わせて公開されている世帯は特殊詐欺に狙われやすい傾向という。同署担当者は「お金、キャッシュカード、ATM、暗証番号の一つでも話に出たら詐欺という原則で対応してほしい」と話した。

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