同性婚訴訟「思い伝わった」「一歩前進」 静岡県内関係者

 国が同性婚を認めないのは憲法違反だと同性カップルが訴えた訴訟で、東京地裁が30日、同性パートナーと家族になる法制度がない現状は「違憲状態」と判断したことを受け、原告や県内の性的少数者を支援する団体からは喜びとともに、国会での積極的な議論を求める声が上がった。

同性婚を巡る訴訟の判決後、東京地裁前で「婚姻の平等に前進!」と書かれた紙を掲げる原告ら=30日午後
同性婚を巡る訴訟の判決後、東京地裁前で「婚姻の平等に前進!」と書かれた紙を掲げる原告ら=30日午後

 昨年12月まで熱海市で生活していた原告の一人、かつさん(37)=仮名=は東京地裁で判決の言い渡しを聞き、「裁判官に自分たちの思いが伝わっていた」と感じ取った。パートナーの広橋正さん(53)は「社会に傷つけられてきた個人の尊厳を回復する戦いだった。踏み込んだ判決で、うれしかった」と目に涙を浮かばせた。
 弁護団の水谷陽子弁護士は電話取材に応じ、「原告の生の声を踏まえた前向きな判決」と評価した。
 県内で活動する支援団体も「一歩前進」と受け止めた。静岡市を中心に性的少数者支援などを行う「しずおかLGBTQ+」の代表理事、細川知子さんは「行政の担当者や市民に性的少数者の法的な不平等を改める必要性を説明する上で、違憲状態は分かりやすい根拠になる」と話した。
 県東部を拠点とするグループ「メリメロ」の代表を務め、男性パートナーを持つ岩口達真さん(53)は「今回の判決を踏まえ、国会は同性婚の法制化に向けて議論を前に進めてほしい」と切望した。

 婚姻の平等を指摘
 家族社会学が専門の静岡大情報学部の笹原恵教授の話 
 判決で、憲法24条2項に違反する「違憲状態」と指摘したのは、婚姻の平等を指摘する司法判断だったと考えられる。違憲と判断した昨年の札幌地裁判決に準じる内容で、東京地裁が不平等を認めた点は大きい。だが、直ちに国会での議論を後押しする憲法判断にまで踏み込まなかったのは非常に残念だった。
 同性婚への社会的な関心は2015年に東京都渋谷区などでパートナーシップ制度が始まって以降、急速に高まっている。特に若い世代では、周囲に性的少数者の友人がいるといった人も多く、同性婚賛成派も多い。性的指向や性自認にかかわらず、誰もが自分らしく生きられる社会の仕組みを、幅広い世代で構築していく段階に入ったと思う。

あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞