記者コラム「清流」 進む冬支度

 11月になり朝晩の寒さが増し、冬の足音が近づいてきた。最近、西伊豆と松崎で伝統的な冬の保存食の製造工程を目にする機会があった。季節の変わり目を迎え、伊豆西海岸では冬支度が進む。
 西伊豆町田子の「潮かつお」。塩漬けにしたカツオを風にさらして乾燥させる製法を長年続けていて、大きなカツオが竹ざおにつるされる様子は迫力満点だ。松崎町大沢では、いろりがあった家庭で親しまれた「焼きアユ」づくりを見た。黄金色に焼き上がったアユが美しく香ばしい香りが食欲をそそった。
 両方とも昔ながらの製法を続ける品で、なかなかお目にかかれない。厳しい冬を乗り越えるために先人から引き継いだ製法は、地域を象徴する文化だ。いつまでも地元の味として残ってほしい。

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