キャンパーに好評、こだわりトング 町工場の技術生かし開発 湖西市の寺脇さん

 湖西市の町工場の職人が開発した火ばさみ「ファイヤートング」が、静岡県内外のキャンパーに好評だ。約50年にわたり溶接の仕事を続けている寺脇精二さん(72)=同市大知波=が、自身の趣味でもあるアウトドアの経験を随所に生かした。「道具にこだわる人にはぜひ使ってもらいたい」と薦める自慢の逸品で、新型コロナウイルス禍で高まったキャンプ需要をつかむ。

町工場の技術を生かして開発し、県内外のキャンパーから好評の「ファイヤートング」=湖西市大知波の寺脇精工
町工場の技術を生かして開発し、県内外のキャンパーから好評の「ファイヤートング」=湖西市大知波の寺脇精工


 自然体験教室などを開く地元の住民グループで活動する寺脇さん。個人でもバーベキューやたき火を楽しむ中で、「使い心地のいいトングがないか」と探していた。市販のU字形のトングは、まきなど大きめの物をつかむと変形してしまう。「こんな感じのトングがあったら」と抱いてきた理想を自ら形にしようと、昨年から試作を重ねてきた。
 トングはX字形の鉄製で長さ47センチ、重さ360グラム。ばねを採用したことで軽い握りでも開閉を可能にした。ギザギザした先端部分で細かい物を「つまみ」、中央の平たい部分で大きな物を「つかむ」。グリップ部分は木材を火であぶった後、手になじむようにオイルを塗り込んで仕上げた。
 完成品を4月から、クラウドファンディングサイト「マクアケ」で売り出すと、初日だけで30個ほどが売れた。全国の幅広い世代から注文が入り、コロナ禍のキャンプ熱の高まりを感じたという。
 寺脇さんが社長を務めている寺脇精工は、従業員3人の小さな町工場だ。寺脇さんは長年にわたって自動車部品の溶接を手掛けてきた。「消費者に直接届けられる商品をいつか作りたいと思っていた。今回は使う人の声を聞くことができて、作る喜びが増した」と言葉が熱を帯びる。
 寺脇さんのファイヤートングは1本8800円(税と送料別)。右利き用、左利き用を選べる。前後5センチの長さ調整もオーダーが可能。名前入れは1650円の追加料金がかかる。注文はメール<terawaki-2352@cy.tnc.ne.jp>へ。
 (湖西支局・大沼雄大)

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