リンゴ搾りかす活用「ビーガンレザー」 浜松の共和レザー開発

 自動車内装材メーカーの共和レザー(浜松市南区)は21日までに、リンゴの搾りかすを活用し、植物由来の合成皮革「ビーガンレザー」を開発した。脱炭素や持続可能な開発目標(SDGs)推進に向けて原料の50%以上を植物由来とし、高い耐久性が求められる自動車シートなどの開発技術を応用した。

「エシカルレザーソバニ」が扱う商品は約170種類まで増えている
「エシカルレザーソバニ」が扱う商品は約170種類まで増えている
リンゴの搾りかすを活用して開発したビーガンレザー。バッグなどに製品化する予定だ=12日、浜松市南区の共和レザー
リンゴの搾りかすを活用して開発したビーガンレザー。バッグなどに製品化する予定だ=12日、浜松市南区の共和レザー
「エシカルレザーソバニ」が扱う商品は約170種類まで増えている
リンゴの搾りかすを活用して開発したビーガンレザー。バッグなどに製品化する予定だ=12日、浜松市南区の共和レザー

 バッグや小物に製品化し、今秋以降に自社ブランドの電子商取引(EC)サイトで発売する。同社によると、ビーガンレザー生産は国内初という。
 全国有数のリンゴ産地の長野県飯綱町と、搾りかすの有効資源化を目指すSORENA(長野市)と3者の官民連携プロジェクト。2月に本格的に開発をスタートした。
 使ったのはりんごの酒の製造過程で発生する搾りかす(廃棄物)を乾燥させた粉末。粒の大きさや水分量管理に配慮しながらウレタン樹脂に混ぜ込んだ。通常はポリエステルを使う裏面もコットン(綿)に変更することで、植物由来の比率を高めた。
 リンゴやブドウ、サボテンなど動物性の素材を使わないビーガンレザーは海外で製造され、ハイファッションブランドが採用する動きがある。一方、産地が不明確だったり、数年で耐久性が弱まったりするケースが見られるという。
 共和レザーは自動車内装の合成皮革表皮材で世界シェア2位(国内トップ)。久保賢治開発部長は「脱炭素社会の実現に向け、自動車用の製品開発でもこうした環境対応が一層求められる」と強調する。

 ■バッグやポーチ…170種 自社ブランド拡充
 共和レザーは昨年5月、個人消費者向け事業の一環で、自社ブランドECサイト「エシカルレザーソバニ(Sobagni)」を開設した。
 自動車用合成皮革を活用したバッグ、文具やポーチなどの小物など、取扱商品は当初の35種類から約170種類まで拡充。ビーガンレザーの製品もラインアップに加える。6月には社内にショールーム(限定公開)を設置した。
 中村美由紀ブランド企画部長は「優れた耐久性があるレザーの存在を身近に伝えていきたい。茶やミカンなど、ご当地のビーガンレザー開発も検討している」と話す。

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