難病をかかえた子どもとその家族をサポートする家
今回は、スペシャルゲストのサッカー元日本代表MFの北澤豪さんに、社会貢献活動への取り組みについて、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
写真提供:ドナルド・マクドナルド・ハウス財団
牧野:北澤さんは高校卒業後、浜松の本田技研工業に入社しサッカー部に入部され、日本サッカーリーグで得点王に輝くなど静岡のサッカーを盛り上げてくれた静岡県とも非常にゆかりのある方です。その後は読売クラブに移籍し、日本代表やJリーグでも大活躍、2003年に現役を引退されました。現在は、日本サッカー協会の理事や、日本障がい者サッカー連盟の会長でもいらっしゃいます。北澤さんといえば、ゴルフやファッションなど、サッカー以外の分野でも活躍されていますが、社会貢献活動にも積極的に取り組まれているんですね。
北澤:現役時代から、途上国の支援をしているJICA(国際協力機構)オフィシャルサポーターなどとして、世界50カ所以上を訪問しています。例えば、南アフリカでワールドカップがあったときには、南アフリカの人種問題に少し関連した活動もしてきました。
同じアフリカのガーナなどではテレビの普及率が低いので、ワールドカップ開催中に電機メーカーと協力して大きなスクリーンを持っていき、子どもたちがワールドカップを観られるようにもしました。
アジアではミャンマーやカンボジアなどは、サッカーが発展する環境がまだまだ低いので、その改善に協力させてただいたりと自分のできる範囲で動いています。あとはJICAの青年協力隊がされている活動の協力などもしています。
このほかにもチャリティフットサル大会を開催して、東日本大震災などの復興支援活動も行っています。
牧野:サッカー選手だった北澤さんがこれだけ社会貢献活動をされているのは、現役時代に世界をまわった経験があったからなんですか?
北澤:そうですね、世界規模でみるとまだ3分の2が途上国だったりします。スポーツを楽しむことができない環境や日常の人が、世界にはまだ多くいて、スポーツが世界の人々に平等じゃないと感じ、誰もがスポーツを楽しめる環境作りに貢献したいと思いました。
全国11カ所にあるドナルド・マクドナルド・ハウス

写真提供:ドナルド・マクドナルド・ハウス財団
牧野:実は北澤さんは、現在も静岡に関連のある活動をされているんですよね?北澤:そうなんです、「ドナルド・マクドナルド・ハウス」って知っていますか?
牧野:入院されているお子さんと、そのご家族のための取り組みだと聞いています。北澤さんは、「ドナルド・マクドナルド・ハウス」のアンバサダーとして、全国のハウスにも足を運ばれているんですよね。詳しく教えてください。
北澤:現在、全国11カ所にあり、今後静岡にも建設予定になっているんですが、難病を抱えた子どもとその家族のための施設になります。難病を抱えた子どもは、入院生活を送ることも多いですが、その間、親御さんが泊る場所がなかったりするんです。また、遠方から入院の場合は、経済的にも二重生活になるので、非常に大変な状況になるんです……。
でもそこにドナルド・マクドナルド・ハウスがあれば! ハウスは病院の敷地内にあるので、子どもは病院に入院し、家族は隣接のハウスに、1泊1000円という安価で滞在できるんです。部屋も分かれていて、キッチンもあるので自炊ができたり、洗濯もできる環境です。さらに全国からの寄付で食材も用意されていたり。支援してくれる人たちの愛情からなる施設で、経済的にも精神的にも苦しいことを緩和できる場所にもなると思います。
コロナ禍で始まった新たな取り組み「シェアハートプロジェクト」
そのほか、コロナ禍でハウスでもなかなか思うような活動ができないので、病院で入院している子どもたちに向けて「シェアハートプロジェクト」を今年スタートさせました。そのプロジェクトの一環として、静岡県立こども病院に行きます。病院内に少し入れる状況なので、迷惑をかけないようにしながらも、子どもたちに笑顔になってもらう活動をしたいと思います。牧野:静岡県立こども病院で、「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の取り組みがひとつスタートするんですね。具体的には、どんなことが行われますか?
北澤:「ハートフルカート」といって、カートに子どもたちへのおもちゃだったり、親御さんへの日用品を乗せて、無料でプレゼントしていく取り組みなんです。子どもたちも入院していて、おもしろいことも少ないと思いますので、少しでも笑顔になってもらえれば!
個人でも、寄付することで活動を応援できる
牧野:私たち個人が、この「ドナルド・マクドナルド・ハウス」や「シェアハートプロジェクト」の活動を応援する方法などはありますか?北澤:「シェアハートプロジェクト」に関しては、プレゼントは地元の企業に賛同してもらいながら寄付していただいていく形になります。個人のみなさんには、全国のマクドナルドのレジの横にある募金箱に寄付いただけると、それが「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の支援に繋がります。
牧野:そこに繋がっていくんですね!
北澤:そうなんです。どうしても募金の認知率って、世界に比べて日本は低い傾向です。募金が何に繋がっているか分からないことが多いと思うので、それが理解できると、みなさん気持ちをそこに入れてくれたりするんですよね。
詳しくは「ドナルド・マクドナルド・ハウス」のホームページをみていただけると、体験者や子どもたちのメッセージもみることができます。
牧野:北澤さんの活動に非常に興味をもちました! みなさんもぜひ、「ドナルド・マクドナルド・ハウス」でチェックしてみてください。今回はありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……北澤豪さん
修徳高校卒業後、本田技研工業株式会社に入社。海外へのサッカー留学・日本代表初選出を経て、読売クラブ(現 東京ヴェルディ)へ移籍。日本代表としても多数の国際試合で活躍し03年現役を引退。現在は(公財)日本サッカー協会理事、(公財)日本サッカー協会 フットサル・ビーチサッカー委員長、(一社)日本障がい者サッカー連盟会長、(一社)日本女子サッカーリーグ理事。社会貢献活動にも積極的に取り組み、サッカーを通じて世界の子ども達を支援できる環境作りを目指している。