​スマホのフィルム貼りも自販機でできる⁈マイボトル利用やカフェ人気などで飲料自販機が減る中、自販機独自の商品やサービスの魅力に目を向けよう!

これから本格的に暑くなると欠かせない水分補給。飲み物を気軽に購入できるのが、自動販売機です。ただ最近は「以前はここに自販機があったのに…」ということも。実は今、自動販売機が減少しています。消費経済ジャーナリストで流通アナリストの渡辺広明さんに、SBSアナウンサー井手春希が詳しく話を伺いました。

井手:自販機が減っているなという実感があるんですが、具体的な数字で言うとどれくらいなんでしょうか?

渡辺:ピークだった2000年には560万台だったのが、直近の2024年の末だと、391万台まで減っています。さらにそこから2年経っているのでもっと減っていると思いますが、約3割減です。

井手:減るスピードも速いですか。

渡辺:特に深刻なのが、飲料自販機なんです。2013年は247万台でピークだったんですが、2024年は204万台ってことで約2割減っています。このペースが続くと、2050年には100万台規模まで落ち込むのではないかという試算まででているぐらい、非常に厳しい環境です。半分ぐらいになっちゃうってことですよね。

井手:えーっ。そうなんですね。かなり厳しい状況にあるということが伺えますが、その最大の要因は何なんでしょうか?

渡辺:なんといっても人口減少です。それに加えて、コンビニの影響も非常に大きいです。2013年前後から、コンビニのカウンターコーヒーが本格普及しました。それまでは自販機で缶コーヒーを買うことが多かったんですが、安くて美味しいカウンターコーヒーが手に入るようになったことが大きいです。

あと、自販機を見るとわかるんですが、定価販売なのでちょっと高いですよね。

井手:少し割高に感じますね。

渡辺:それで、消費者離れが進んでいます。実は今、全国の自販機の1割が赤字になっているんです。さらに赤字の自販機の数は増えていくことが考えられるので、非常に厳しくなるんじゃないかなと思います。

井手:その他にも、何か逆境があるんですか。

渡辺:自販機の場合、設置しているところに商品を運び、補充しなきゃいけないですよね。

自販機だけの話ではないですが、全国でドライバー不足が進んでいます。2024年にドライバーの残業の上限規制が設けられて、2030年に向けて全国で35%の荷物が運べなくなるという話も出ているので、これも自販機に影響すると考えられます。

井手:なるほど。自動販売機を巡る物流にもドライバー不足が関係しているんですね。

キャッシュレス対応にも費用が

井手:新紙幣に変わったとき、急いでそれに対応する販売機が出てくるという動きもありました。新紙幣に対応したのも、減少に関係していたんでしょうか?

渡辺:新紙幣に対応すると、改修費用がかかりますからね。それに対応できない古い販売機は撤去するしかなかったというのはあると思います。キャッシュレスが進んでいるので、キャッシュレスでないとお客さんはなかなかついてこないじゃないですか。

井手:そうなんです。私も小銭、現金はほぼ持っていないので。

渡辺:改修するとまた費用がかかって、赤字の自販機も多いと、「もう撤去かな」となることも多いと思います。

井手:なるほど。イメージするのは山あいにある自販機ですが、そうした場所の自販機はなくなってきているんですか。

渡辺:昔からずっとあり、生活を支えてきた自販機だったと思いますが、山あいにあるので売り上げは高くないところが多いと推察されますよね。そうすると、採算が合わないから撤去していく形になります。利益がでないものはチェックされますからね。

静岡は飲料自販機にとって恵まれた環境!?

井手:これは日本全体のお話だと思いますが、静岡県に焦点を当てると、今どういう状況なんでしょうか?

渡辺:静岡は、自販機にとって、特に飲料自販機にとって恵まれた環境なんです。

井手:えっ、どういうことですか。

渡辺:日照時間が長く、晴れの県と言われています。暑いと飲料の需要は上がりますよね。「ちょっと喉が渇いた」というときに売れるという点で、「晴れの県」である静岡は、自販機にとって若干ポジティブであるといえます。

立地の面では、静岡は東名高速道路・新東名高速道路の通過点でもありますし、人の行き来が激しいですよね。また、富士山、伊豆、浜名湖など観光のポテンシャルが高いので、お客様が来てくれるという条件は自販機にとってポジティブなのではないかと思います。

井手:なるほど。確かにコンビニもありますが、自販機が要所要所にあると暑い時期は重宝しますよね。

渡辺:僕も浜松市出身なので、自販機は当たり前にありました。当たり付きの自販機を小さい頃からよく使ってましたからね。

若い世代ほど、マイボトルやカフェ利用が浸透

井手:世代で言うと、若い世代は最近、自販機で飲み物を買うというよりはコンビニで買ったり、マイボトルを持ち歩いたり、あとカフェに行ったりっていう傾向があると思います。その辺りはいかがですか。

渡辺:若い人はコンビニで買うのすら高いと思ってますからね。マイボトルやタンブラーを使い、エコの意識も高いです。かっこいい、SNS映えするみたいな理由で、カフェに行くなどの方にシフトしてるんじゃないかなと思います。

井手:時代の流れも影響してますよね。

渡辺:ただし、「自販機でしか買えない商品」もあります。ですので、「そこにしかないもの」というのが勝負のポイントです。

井手:生き残りをかけて自販機でしか買えないという特別感が必要になってくるんですね。

渡辺:結構マニアックな商品があるので、ゆっくり覗いてみてください。コンビニに売ってないような商品があるので楽しいですよ。

井手:へえ〜。それは知らなかったです。各飲料メーカーからもいろんな対策が出ているんですかね。

渡辺:そうですね。コスト面の問題があるので、ダイドードリンコとアサヒ飲料が自販機の運営の共同持ち株会社を設立したり、伊藤園とキリンビバレッジが自販機の修理メンテナンスで協業したりしています。ライバル同士が手を組まないといけない状況になっています。

残念な話だと、サッポロホールディングスは、自販機事業からの完全撤退を発表しました。一方でコカコーラは、自販機を二酸化炭素を吸収する設備として活用する新ビジネスモデルを育てようとしています。

あと、地震のときに飲料を飲めるようにするというのもあるので、災害のときに役立つ使い方もこれから出てくるんじゃないでしょうか。

スイーツやラーメンもお任せ!サービスの提供も

井手:飲み物以外の自販機もいろいろありますが、今後の自動販売機について、どのようになっていきそうですか?

渡辺:飲料の話ばっかりしてたんですけども、コロナ禍を得て食品の自販機も一気に広がりました。冷凍自動販売機の「ど冷えもん」というのがあるんですよ。これは全国で3000台以上設置されていて、和牛やスイーツなどを売っています。

井手:へえ。

渡辺:ラーメン売ってる自販機もあります。私が今注目しているのは、iPhone用保護フィルム自動貼り付け機で、「フィルラボ」というものです。先週も使いました。

フィルムを貼るとき、気泡が入っちゃうんです。フィルムを変えたいなと思っていたら、新宿のマルイの1階にこの機械があって、iPhoneをセットすると、2分ぐらいでガラスとフィルムを貼ってくれるんですよ。

井手:自販機の中でやってくれるんですか!?

渡辺:3000円弱で、置くだけで工賃込みで貼り付けをやってくれます。ちょっと割高ですが、失敗するよりしっかり貼りたいですよね。

「フィルラボ」のように物だけではなく技術・サービスを提供する自販機も出てきています。人手不足というところで、今後伸びていくと考えています。

井手:概念が変わりますね。最後に、今後の業界に求めることなどお願いいたします。

渡辺:日本は治安がいいので、自販機が世界一普及しています。キャッシュレス対応などを急ぎながら、自販機が今後も進化する可能性があります。日本独特の文化なので、これから期待したいなと思っています。

井手:わかりました。新たな伸びに注目したいと思います。渡辺さん、ありがとうございました。
※2026年5月13日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

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