(文と写真=論説委員・橋爪充)

「猫アート」をキーワードに、画家、水墨画家、アーティスト、アニメーター、イラストレーターなどさまざまな肩書の人々の作品を寄せた。お笑いコンビ「ナイツ」の土屋伸之さん、俳優川崎麻世さんの絵画も目立つ位置に展示されている。
ネコは古代エジプトの時代から画題としてよく取り上げられてきた。日本では江戸期の浮世絵に取り上げられているし、印象派をはじめとした20世紀初頭の西洋絵画にもよくネコが出てくる。ぱっと思い浮かぶのは、レオナール・フジタが裸婦や自画像と共に描くネコだ。フジタのネコ愛はホンモノで、自分の分身として描き込んだとも言われる。今回の展覧会を見ても、ネコという動物の造形的な魅力がさまざまな人の、創造性を刺激していることがよく分かる。
先週、三島市の佐野美術館で岩合光昭さんのネコ写真展を見たが、絵画作品になると作り手の選択肢が増える分、色彩の幅が広がる。要は「ネコに何の色を合わせるか」が表現の肝になってくるのだ。
そうした観点で館内を眺めると、ネコという魅力あるモチーフを乗り越える「作家性」を発揮している作品が特段に光って感じられる。

例えばイラストレーターのナガタロッソさん(静岡市)の作品は、いわゆる「キンアカ」を使ってネコのポップアイコンとしての姿を際立たせている。顔は明らかに人間で赤のシルエットはネコ。両性具有的なネコのありようがダイレクトに伝わってくる。

水墨・彩墨画家の馬艶さんによる連作は、植物の緑と優雅な白黒ネコの巧妙な色バランスに目を奪われる。得も言われぬ「湿り気」が乾いた博物館空間の中で異彩を放っていた。

観覧順路の最後に駿府博物館の収蔵品2点がある。特に長尾タダユキさん(島田市出身)の「猫に聴かれた」に惹かれた。2000年に70歳で亡くなった版画家で、本作はリトグラフだろうか。パウル・クレーを思わせる線や色使いで、「ネコの形」を極限まで簡略化している。われわれが「ネコの形」を認識するポイントは「耳」であることがはっきり分かるという点でもユニークだ。
<DATA>
■駿府博物館「東京猫美術展 in 静岡」
住所:静岡市駿河区登呂3-1-1
開館:午前10時~午後5時(月曜休館、祝日・振替休日の場合は開館し翌日休館)
観覧料金(当日):一般800円、高校生400円、中学生以下と障害者手帳提示は無料
会期:2026年6月14日(日)まで





































































