駿府博物館で開催中「Love Art Peace〜きらめく立体切り絵とアートGETA」立体切り絵作家・濱直史さんが語る創造の秘密と展覧会への思い

繊細かつダイナミックな作品を出品する立体切り絵作家・濱直史さん

皆さんこんにちは。静岡市駿河区にある駿府博物館・副館長の杉山渉です。 

静岡市駿河区の駿府博物館で10月25日(土)から2026年1月12日(月・祝)まで開かれる展覧会「Love Art Peace〜きらめく立体切り絵とアートGETA」。この異色のコラボ展に、繊細かつダイナミックな作品を出品する立体切り絵作家、濱直史さんにお話を伺いました。

立体切り絵作家 濱直史さん

平面にはない「立体」の魔法

濱さんの作品は、紙でありながら立体的な世界を生み出します。「僕が作っているのは平面ではなく立体。平面の良さもありますが、立体には平面にない良さがあるんです」と濱さん。 その最大の魅力は、紙が重なり合ってできる「影」や「奥行き」。光の当たり方や見る角度によって、作品の表情がドラマティックに変わるのが、立体切り絵ならではの醍醐味だといいます。

「自分だけの表現」を求めて

切り絵を始めた当初は平面作品を手掛けていましたが、「どうやったら自分だけの表現ができるかな」と模索していた時期があったそうです。もともと工作や折り紙が好きだったことがヒントとなり、ある時ふと「折り紙に切り絵を施したらどうなるだろう」と思い立ち、試作を重ねて現在の立体切り絵というスタイルが生まれたといいます。

線の細さはなんと0.5ミリ!息をのむような緻密な手仕事

チラシにも掲載されている代表的な黒い折り鶴などは、その緻密さに驚かされます。線の細さはなんと0.5ミリほど。鶴の片羽を仕上げるのに10時間以上、作品全体では2週間ほどかかることもあるそうで、「細かいほど時間がかかりまして」と、繊細な手仕事の裏側を教えてくださいました。

折り鶴〜源氏車

「制作過程では、鈴木さんがその「繊細すぎる仕事」に驚く一幕も。スタイルは全く異なりますが、互いの作品に刺激を受け、自分の表現の幅を広げる「ライバル心」を持って挑むことで、想像を超えたコラボレーションが実現しました。

日本画と響き合う初めての体験

今回は、塗り下駄アーティスト・鈴木千恵さんとの共同制作だけでなく、駿府博物館さんの収蔵品である日本画とのコラボレーション展示も実現しました。

つがいの鳩~「花鳥図」桜間青崖より~

濱さんにとって、このような日本画とのコラボは初めての試み。「季節感や日本の風習をベースにした作品が多かったので、日本画との相性も良く、僕の作品にプラスアルファの表現が加わった、よりイメージが膨らむ展示になっていると思います」と、新たな挑戦への手応えを語ります。

異なる分野との刺激的な「掛け算」

下駄アーティストとのコラボは、分野が全く異なるため、最初は「正直どういうものができるか全くイメージができなかった」と話す濱さん。

しかし、素敵なデザインに触発され、「こういうものを創ろう」と瞬時にイメージが膨らんだそうです。異なる素材や表現が組み合わさることで、お互いの良さが引き立つ「掛け算」が生まれ、「とても斬新で楽しいコラボになった」と、その化学反応を楽しんでいらっしゃいました。

濱さんと鈴木さんのコラボ作品「共存共栄」

最後に濱さんから、「とても新しい展示をさせていただいているので、ぜひ実物を見に来ていただいて、驚きや何か色々感じていただけたらと思います」と、来場者へのメッセージをいただきました。

<DATA>
Love Art Peace 〜きらめく立体切り絵とアートGETA
会場:静岡市駿河区登呂3-1-1 静岡新聞放送会館別館2階
開館時間:午前10時~午後5時
会期:2025年10月25日(土)〜12月21日(日)、2026年1月4日(日)〜1月12日(月・祝)
休館日:月曜日(祝日、振替休日の場合は開館し、翌日休館)
    ※2025年12月22日(月)〜2026年1月3日(土)は冬期休館
入館料:高校生以上800円 ※中学生以下、障害者手帳ご提示の方は無料
駐車場:駿府博物館北側駐車場(障がい者用を含む5台)

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