(文・写真/論説委員・橋爪充)

静岡県は2025年1月から、文化財ポータルサイト「レガシズ」(https://lega-shizu.com/legashizu3d/)で県内の国指定文化財、県指定文化財の仏像の高精度立体画像を公開している。同年2~3月には、静岡市歴史博物館など3カ所で「仏像のヒミツ体験会」と題してデモンストレーションイベントを開いた。
公開から1年がたち、このコンテンツが進化を遂げている。もともと県内の寺など7カ所にある32体の仏像でスタートしたが、久しぶりにサイトをのぞいたら中伊豆や「久能寺」関連の仏像が加わっていた。静岡市、浜松市、伊豆の国市の遺跡や、1945年8月に磐田市の鮫島海岸に不時着した緑十字機といった「変わり種」もあった。
上から、下から、背後から。展示室では見られない角度からさまざまな仏像を細かく観察できる。3D仏像展示室の開設は、ファンにとっては天地がひっくり返るほどの出来事だっただろう。
昨年12月末にはバーチャル空間で県内の仏像の3D画像に触れられる「仏像メタバースギャラリー」(https://roomiq.jp/QWoio73/shizuoka-buddha-entrance)がオープンした。自らのアバター(分身)を設定して仮想空間に入り込み、他の人と一緒に仏像を鑑賞できる。

2月1日のイベントでは、歴史博物館とメタバース空間、それぞれに観客が集った。バーチャルツアーを導いたのは上原美術館(下田市)の上席学芸員で県文化財保護審議会委員でもある田島整さん、浜松市美術館学芸員の島口直弥さん、SBSラジオ「ラジオEAST」のパーソナリティーを務めるアナウンサー久保沙里菜さん(富士市出身)、ファシリテーターの県文化財課田村隆太郎さん。
アバターを操りながら四つの展示室を巡ってみせた。思わず笑ってしまうほどのインパクトがあったのが、「エントランス」だ。奈良時代の「十一面観音立像」と、鎌倉時代の実慶作「阿弥陀三尊像」の計4体が青空の下、中空に浮かんでいる。しかもデカい。

回廊を歩くアバターの背丈の4、5倍はあろうか。実寸は1メートル前後だが、メタバース空間ではまるで大仏だ。蓮台の下から仰ぎ見ると、なかなか威圧感がある。回廊から飛び上がる形で、アバターを空中に動かすこともできる。鎌倉時代に流行した、仏像の眼に水晶をはめ込む「玉眼」も確認できた。
この技術を使って何ができるか考えた。最も簡単なのは自宅に居ながらにして受講できる「仏像講座」だろう。ユーザーと3D仏像の間に専門家がリアルタイムで介在できるのが強みだ。2月1日に顔をそろえた仏像インフルエンサーたちが出張する必要もない。小中学校、高校に導入すれば、人気コンテンツになるのではないか。全国で文化財の修復に携わっている人たちを対象にした、技術向上セミナーにも活用できる。
2024年度から取り組みが進む静岡県の「仏像デジタルコンテンツ」。いよいよ教育分野に羽ばたくときが来たのではないか。






































































