(文・写真=論説委員・橋爪充)

◇浜松聖星(静岡) 浜松聖星高校演劇部/作(創作)「パッション・ミッション・ディスカッション」
静岡県大会優秀賞の演目。AI教育が普及した2075年、修学旅行の説明会に集まった5人の高校生が学校内で宝探しゲームに参加させられる。静岡県大会以上に5人のキャラクターの輪郭がくっきり。特にアカリ役の加藤里苑さんの「ウザ明るさ」に磨きがかかっていて、客席も好反応だった。半暗転状態の舞台で、出演者が雑談しながら大道具を入れ替える演出も良かった。

◇駿河総合(静岡) 伊作/作(既成)「ヒトリダケノ」
静岡県大会最優秀賞の演目。学生服を着て「一人応援団」を名乗り、あちこちで人々にエールを送る活動をする愛架(まなか)。その深層には愛架自身の過酷な運命があった―。県大会の上演に必要十分なアクセントを加え、あらゆる人の背中を押す主人公の行動原理を鮮明に浮かび上がらせた。主人公の声だけを聞かせて姿は見せないラストシーンは、今回も効果大。

◇水海道第一(茨城) 小松崎琉凪/作(創作) 「ひとにぎり」
人間関係が濃密なある「村」で、祖母から引き継いだ定食屋を母と共に切り盛りする高校生相川さくら。母は体調を崩し、実質的にはさくらが一人で店を運営しているが、祖母の時代のようなにぎわいが失われていて-。人の手を介して生まれる「おにぎり」を、人と人の相互理解のメタファーとして描く。カウンターと小上がりがある定食屋のセットが見事。

◇新渡戸文化(東京) 新渡戸文化高校演劇部/作(創作) 「私たちは何だかズレているのかもしれない。」
ピアノがリードする星野源さんの楽曲による群舞でスタートした演目は、1~3人による短編を数珠つなぎにして展開。舞台上で話している人間が誰なのかについて一切説明がないまま、「なるほど」「やめる」「ブックオフ」といったキーワードから話が広がっていく。いい意味で脈絡がないため、一つ一つの話の着地点が見定められない。スリリングな観劇体験だった。

◇身延(山梨) スズキユウジ/作(創作) 「Seasons Of Change(オムニバス演劇「春夏秋冬」より)」
学校の所在地である山梨県身延町の四季をツクシ、セミ、コオロギなどの姿で描写。特にアリとキリギリスが出てくる冬の回は、現代の「あるある」を持ち込んでイソップ童話の教訓を反転させていて、ユニークだった。各エピソードの合間には、ジングルのように5人によるコンテンポラリーダンスを置いていた。やわらかな動きが美しかった。

◇神奈川大学附属(神奈川) 曽我部マコト/作 中島智仁・阿部円香・峰野優芽/潤色(既成) 「ホット・チョコレート」
高校3年の夏にバンド仲間で親友のキッコの転校を知らされるミオ。幼なじみでひそかに心を寄せていたテルキはバンドの他のメンバーと付き合い始めた。二つの喪失を前に心が揺れ動くミオに、キッコは自らが作曲した楽曲を手渡す―。クールだが思いやりのあるキッコを阿部円香さんが好演。物語が進むにつれて片付いていくキッコの部屋が、「別れの日、近し」を暗示していた。

◇松戸(千葉) 阿部順/作(創作) 「Happy Days」
曽祖母の戦争体験と、演劇体験を記した手記を、現役の松戸高校演劇部部長が演じる、という趣向。全て史実に基づいてはいないのだろうが、時代設定は太平洋戦争前夜を思わせる。「国外作品」「恋愛作品」の上演禁止を言い渡された女学校演劇部を描く。シェークスピアの諸作を引用するだけでなく、舞台上にシェークスピア本人まで出現させるなどした重層的な脚本に驚愕。笑いと涙がふんだんに盛り込まれ、60分間が短く感じた。




































































