【アニメ放送10周年の「ラブライブ!サンシャイン!!」と静岡新聞(前編)】「ラブライブ!サンシャイン!!」の記事本数は2023年が最多。そのわけは…

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回はテレビアニメ放送10周年の「ラブライブ!サンシャイン!!」と新聞報道の関わりを題材に。全2回の前編。
(文・写真/経営戦略室・天野大輔)

2026年、静岡県沼津市が舞台となっているメディアミックスのプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」は、「助けて、ラブライブ!」という印象的なティザービジュアルが公開され、プロジェクトが始動してから11年目を迎えます。

アニメの放送開始からは7月で10年の節目となります。テレビアニメは、2016年7~9月に第1期、翌2017年10~12月に第2期が放送され、2019年1月にはテレビアニメの続編となる映画が公開されました。物語はいったん完結をみましたが、2023年1~3月にはスピンオフ作品となる「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」が公開されるなど、アニメだけでも8年にわたって4作品が公開される大型コンテンツとなっています。

沼津は全国でも有数のアニメ舞台地に

商店街をあげてさまざまな企画やイベントを行っている沼津あげつち商店街

その間、沼津市には作品の世界観を追体験しようと全国から多くのファンが詰めかけ、自治体や地元企業、商店街などとの連携によるコラボイベントも絶え間なく行われてきました。こうした事象や取り組みなどが、地元メディアのみならず、全国ニュースやバラエティなどでも、幾度となく取り上げられてきたことは、周知の通りです。

では、静岡県の県紙として最大シェアを誇る静岡新聞は、この現象をどのように報じてきたのでしょうか。紙面において「ラブライブ!サンシャイン!!」に言及した記事の掲載回数を、年次ごとに集計しました。

静岡新聞における年次別『ラブライブ!サンシャイン!!』言及記事数

※地域版等も含む言及があった全ての記事(コンテンツ)の数


テレビアニメの放送で盛り上がっていた2016年から2017年頃に記事数がピークに達するかと思われましたが、年間掲載数が最多の80件を記録したのは、プロジェクト始動から8年が経過し、スピンオフ作品「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」が放送された2023年でした。この数字は、作品が単なる一過性のブームにとどまらず、年月を重ねるごとに地域社会と深く、多角的に結びついてきた軌跡を物語っています。

では、2023年とは作品と地域にとって、どのような年だったのでしょうか。まず、この年は沼津市が市制100周年という大きな節目を迎え、その記念事業に作品が深く関わったことが記事数の増加の理由として挙げられます。また、かつてはIP(知的財産)を活用した施策には慎重なイメージのあったJR東海が、本作と初めてコラボを実施したのもこの年でした。さらに、沼津市の隣接する自治体である清水町が本作とのコラボを始めたのも2023年で、関連記事が3本ありました。

2023年の盛り上がりはコロナ禍の反動も影響?

「幻日のヨハネ」ののぼりが設置されていた2023年の「三の浦総合案内所」


2023年に至るまでの数年間、記事数は一時的に落ち込んでいます。これは新型コロナウイルスが猛威を振るい、ファンが沼津を訪れること自体が難しくなった時期と重なります。イベントやキャンペーンなどは中止や規模縮小を余儀なくされ、報じられるべき「動き」そのものが減少していたことが大きな理由とみられます。

そうした閉塞感を打破したのが、2023年という年でした。スピンオフ作品の放送と沼津市制100周年という大きなトピックが重なっただけでなく、コロナ禍で抑え込まれていたコラボレーションや交流の熱量が、反動となって一気に噴出したことが、過去最多の記事数を記録する要因になったと考えられます。

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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