
こんにちは。静岡新聞社出版部の営業担当、アッキーこと秋田です。
静岡県内の書店をめぐり、話題のお店、注目イベント、書店員さんのイチオシ本など紹介するコーナー「週末は書店へ行こう!」です。今回はお茶や太平洋地区唯一の油田で知られる牧之原市相良にある老舗書店の布施書店に伺いました。
布施書店は、明治10年(1877年)に創業以来、140年以上の長きにわたり、地域に根差した「町の本屋さん」です。お店に入ると、2025年の大河ドラマに登場し、かつて相良城の城主であった田沼意次侯の関連書籍や、ひと昔前まで店前の通りを走っていた「静岡鉄道駿遠線」に関する書籍コーナーが目を引きました。

田沼意次侯は「賄賂政治」というイメージが先行しますが、大河ドラマに登場した相良城主時代の田沼意次侯は、地元では非常に評判が良く、相良の城下町や藤枝と相良を結ぶ街道(田沼街道)を整備し、相良の発展に大いに貢献しました。
なお、関連コーナーには他の書店ではあまり見かけない、牧之原市が田沼意次侯生誕300年を記念して小学校の学習教材用に製作した「田沼意次物語 新時代への一手」の偉人マンガも販売しておりました。
田沼意次物語 新時代への一手
田沼意次侯がデザインされた布施書店の「御書印」
そのような歴史関連の書籍を見ていると、布施書店の岡田順子さんが「このお店でしか売っていない」というお勧め本を紹介してくれました。それが「見守り犬 ジェード」(著者:永田菊寿 文:まつうら あや 絵:ながとも はるな)です。

絵本:見守り犬 ジェード
この絵本は、地元の牧之原市立萩間小学校の正門で児童たちを2013年から本年(2025年)3月までの12年間『見守り隊長』として見守り続けたジェードという犬の半生や活動を描いた物語です。ジェードは、メディアでもよく紹介され、牧之原市や静岡県からも表彰されたラブラドールレトリバーの女の子です。
盲導犬の訓練を受けていましたが好奇心が強く、盲導犬にはなれませんでした。その後、絵本の著者の永田菊寿さんと出会い、ジェードのセカンドキャリアがスタート。永田さんはジェードが何か社会貢献できればと毎週月曜日の朝、登校時に児童たちの見守りをはじめたそうです。
見守り隊引退後、永田さんはジェードの12年間の活動の記録を多くの方々に知ってもらい他の地域でもこのような活動が広がってほしいと願い、自費出版で絵本にしたそうです。
来店した見守り犬ジェードと布施書店の岡田順子さん
ジェードはすでに15歳になっていました。人間の年齢では100歳を超え、足腰も弱り、すでに自力で歩行することも困難な状態だったそうです。最後に岡田さんは、「ジェードは常連のお客さん。散歩の途中によくお店に寄ってくれました。見守り隊引退後は、高齢のため体調に気遣いながらも、体調の良い時はカートに乗って著者の永田さんと一緒に来店してくれました。」とジェードとの思い出を語ってくださいました。
上の写真はジェードの最後の来店写真です。撮影3日後の2025年11月30日にこの世を旅立ちました。
お店でジェードに会うことはもうできませんが、是非「絵本の中のジェード」に会いに行ってみてはいかがでしょうか。

布施書店【会社名:カルチャープラント(有)】
住所:静岡県牧之原市相良85-2
電話:0548-52-0026
HP:https://r.goope.jp/fuse-syoten/
インスタ:https://www.instagram.com/fusesyoten/







































































