国内トップカテゴリーの人材と環境を高校年代の指導に生かすとともに、指導者の育成にもつなげる狙い。東レ静岡としては将来的にU-15(15歳以下)のジュニアチームを現在の静岡県東部だけでなく中部、西部にも広げたい考えで、その足掛かりとも位置づける。まずは8月23、24日の東海ブロック予選を突破し、最終的に本大会でのメダル獲得を目指す。

技術的指導に焦点
8月2日から始まった合同練習。最初は遠慮がちだった選手たちも、約1週間を過ぎて徐々に笑顔や声が出るようになってきた。同じ会場で合宿中の大学生との練習試合も組まれるなど、日々レベルの高い経験を積んでいる。6年ぶりに〝現場復帰〟した小林監督は、引き受けた理由について「教育的側面のある部活動とは違う、バレーボールという競技に特化した指導がどういうものか、(コーチとして参加する)先生方にも体感してもらい、静岡県の指導力向上の一助になればと考えた」と説明する。

6校から12選手
全国では一般的に国スポの少年男子は実績のある単体チームを軸に構成されるが、静岡県は今年、6校(浜松修学舎、静清、聖隷クリストファー、清水桜が丘、御殿場南、日大三島)から選出した計12人で構成する。「修学舎以外は大舞台の経験が少ないので、普段のパフォーマンスを発揮できるかどうか。それぞれの能力を結集して、チームとしての力を発揮できるかどうかが鍵。そのメンタリティー、フィジカルに、まずは東海ブロック予選までに持って行けるようにしたい」と小林監督。
浜松修学舎・関屋「決定力身に付けたい」
中学時代に全国制覇を経験し、高1の全日本高校選手権(春高)で8強入りするなど経験豊富な浜松修学舎のアウトサイドヒッター、関屋幸馬選手(3年)はレシーブ力が武器で普段の役割は「後ろで支える選手」。だが、普段と違うメンバーとプレーできるこの機会に、スパイクの決定力を身に付けたいと意欲を口にする。「単体のチームと違ってそれぞれ成長できる部分があると思う。小林監督からは知らないバレーの知識を教えてもらっている。自分自身の課題としてはハイセットや1本で決めきる力がないので、その力を身に付けて自分のチームに持ち帰れたらと思っている。サーブは『ミスしてもいいから攻めろ』と言われ、気持ちに余裕ができた。スパイクも打てるボールは積極的に、思い切り打ち込むことを心がけていて打数が増えている。チームとしては、コンビを突き詰めてやっていきたい」と意気込む。

静清の司令塔・清水「スピードと高さ生かす」
セッターの清水咲杜選手(静清3年)は「いろんな個性があるので、いいところをうまく使えたら。中学時代に同じチームだったり、県選抜で一緒だったりするメンバーもいるので、やっていくうちに慣れると思う。技術的指導が多くていい経験になる。自分のチームより打点が高い人が多いので、打点を生かしたトスという点でアドバイスを受けて勉強になっている。スピードと高さ、両方を持ったチームにしていきたい」と楽しみにする。
互いに学び合う機会に
ミドルブロッカーの川島珀人選手(聖隷クリストファー2年)は「(合同練習)3日目ぐらいで慣れてきて、いい雰囲気でやれている。(静清のミドル)武井爽選手ともお互いに〝得意〟が違うので、ブロックの移動、反応の速さなど参考になる」と話す。小林監督の長男で187センチのアウトサイドヒッター小林陽選手(日大三島3年)は「自分のチームは決して強豪ではないので、経験のある人たちの中でプレッシャーも感じている。よく観察して、やるべきことを判断してやっていきたい」と意欲を口にした。
指導者も刺激
小林監督をバックアップする指導陣は、島田樟誠・川田直人監督、浜松商・風間淳機監督、浜松市立・藤田裕人監督の3人。「小林監督の高校生との接し方は紳士的で専門的。勉強になっている」とうなずく。「これまでの国体チームの練習は短期間しかなかったのでゲーム中心だったけれど、今回は練習量が多く、チーム力が上がってきているのが分かる。監督は申し分のないキャリアなので、子どもたちにとっても言葉がスッと入っている様子。はじめにキーワードを説明してから練習に入るのも、イメージしやすい」と刺激を受けていた。(編集局ニュースセンター・結城啓子)




